「今もいつでもモラッティ会長を」。こんなチャントが起きたのは、2013年6月のことだ。インテルのウルトラス「クルヴァ・スッド」のパーティーでのことである。

当時はインテルのオーナー交代に関する情報が出回り、エリック・トヒル現会長の名前が連日のように新聞やテレビで報じられていた。サン・シーロ広場でのパーティーに顔を出したモラッティ氏は、拍手を受け、サポーターとあいさつし、大量のビールの中で去っていった。

その数カ月後、モラッティ氏はインテルの会長職からも離れた。トヒル時代が始まり、1年半にわたって結果が出せず、新会長はなかなかサポーターの心をつかめていない。

『Gazzetta』は8日、モラッティ氏がインテル株式の過半数を再取得することを考えているようだと報じた。すると、多くの人がこれを喜んだ。『Gazzetta』でのアンケートもそれを示している。約80%のユーザーが、モラッティ氏の復帰を喜んでいるのだ。その後、モラッティ氏が否定したことはさほど重要ではない。

SNSでも、「モラッティ復帰は心が躍る。侵略者は家に帰れ! がんばれインテル!」といった声がある。一方で、「申し訳ないけど、モラッティがインテルを手にしていたかったのなら、トヒルに売るずっと前から(エルネスト・)ペッレグリーニや(マルコ・)トロンケッティ(・プロヴェーラ)と一緒にやることはできたんじゃないのか? 今になって思いついたのか? おいおい!」という声もあった。

有名なインテルファンサイトの一つである『Interfans.org』では、サポーターの意見は割れている。すぐにトロフィーを獲得するようになるというファンもいれば、そうでない見方もあるようだ。

だが、ノスタルジーを感じるグループよりも、感じないグループの方が多いようだ。「モラッティがインテルにトロフィーをもたらすのに9年もかけたことを忘れてはいけない」という人もいる。ただ、インテルは1998年にUEFAカップを制していることも忘れてはならないだろう。

一方で、「モラッティの未亡人でもないし、別に彼の復帰に賛成というわけじゃない。でも、トヒルのインテルがここまであらゆる点でひどかったのも確かだ」「モラッティとトヒルなら、何を願えばいいか分からない」と、どちらとも言えない派の声もあった。

また、「この騒ぎはトヒル自身のリークじゃないか。モラッティ復帰を恐れるサポーターが自分を支持するように…」と、皮肉をもって受け止めるサポーターもいる。

モラッティ元会長への愛情に変わりはない。だが、インテルサポーターが結局のところ関心を持っているのは何か、このコメントに集約されているだろう。

「誰だっていい。オレたち必要なのは、金を払ってくれるヤツだ」