「筋トレで大切なことは“意識”すること。高負荷のトレーニングをしようと、どこに効いているのか意識していないと効果は半減するといわれています」
 こう説明するのは、医学博士の志賀貢氏だ。“死ぬまで現役”を目指す本コーナーでは、これまでも筋トレに関する話も数多く紹介してきた。実際、ED解消のための最も近道は、筋肉量を増やして、テストステロン(男性ホルモン)の分泌を高めることに間違いはない。
 「世の女性たちがマッチョや細マッチョの男性に魅力を感じるのも、まさにそれ。筋肉が好き、というより、メスの本能で“セックスが強そう”と察知するからです。もっといえば、男性は肉体改造さえできれば、自然とモテるようになるわけです」

 むろん、わかっていてもトレーニングなどする時間がないお父さん族も多いだろう。しかし、日常生活の中の動きでも、“筋肉を意識する”ことで、筋肉は付きやすくなるという。
 「例えばスクワットの場合、太ももの前面が一番、筋肉に刺激を与えられます。しかし、それを知らず、足首に力を入れて踏ん張ったり、ふくらはぎを意識したりしては、大した効果が得られないのです」

 では、近くにある少し重いものを持ち上げてみよう。何も意識せず持ち上げたときと、上腕二頭筋を意識しながら持ち上げると、間違いなく「重い」「キツイ」と感じるのは後者である。
 「人間の体は、様々な筋肉が助け合うことで最も効率的な動作を無意識に行っているのです。つまり、意識しないで重いものを持ち上げたときは、体の中のあらゆる筋肉が活動して、できるだけラクに持ち上げようとするのです」

 だが、これでは筋肉に刺激は伝わりにくい。一つのパーツを意識することで、補助する筋肉が活動しなくなり重く感じるのだ。すなわち、筋肉に刺激が走り、鍛えられているのである。
 「これを日常生活に置き換えればいいのです。階段を上るときは太腿の裏側(ハムストリング)を意識する。逆に階段を下りるときは、太腿の前面を意識する。たったこれだけの意識の違いで、筋トレ効果も違ってくるのです」

 体を前屈気味にして、重いものを持ち上げるときは筋トレの「デッドリフト」と同じ動作のため、
 「この時は脊髄起立筋を強く意識すると、背中の筋肉が強くなるのです」

 カバンを片手に持っているときは、上腕の三頭筋を意識して、そこを鍛える。
 「男性らしい体格にするには、胸板も必要です。胸筋はなかなか日常生活では鍛えられないのですが、セックスの正常位は使えますね。この体位の時、大胸筋を意識すれば、胸の筋肉に刺激が走るんです」

 もちろん、すぐに効果が出るわけではないが、そもそも筋力アップはミクロレベルで効果が出るもの。普段から、この動きは「どこの筋肉に効いているのか」ということを意識すれば、次第に逞しい肉体になるのだ。
 「特に日頃、体を動かさない男性は少し筋肉を意識するだけで、十分な筋トレになるのです。それで体型が良くなれば、“もっと鍛えよう”という気持ちになるものです」

 筋肉を意識することがED解消への道なのだ。

志賀貢
医学博士。内科医として診療する傍ら、260作以上の小説やエッセイを執筆。また、性感研究の第一人者で『かなりHな夜の教科書』(河出書房新社)など、医学的見地に基づいたSEX&口説き術にまつわる著書も多数。