第35味

世界のリスク

中国経済減速、政治不安…内外リスクを抱えるブラジル

米国の利上げ、原油安と、新興国から資金が 流出しやすい環境が続く

ちょうど1年前にも紹介しましたが、米国有名コンサルタント会社のユーラシアグループが毎年1月年頭に「世界の10大リスク」を発表しています。今年の2015年分は1月5日に発表されました。

まず、昨年の2014年分分を振り返ってみましょう【リスク5】の「石油大国…シェー

ル革命の影響による原油価格下落と競争激化」など、確かにマーケットをにぎわせたものも多くあり、参考になることがわかります。

続いて、今年の10大リスクについては、昨年と似ている部分もありますが、その中で特に気になったのはブラジル関連です。

最大貿易相手国である中国の経済成長率が鈍化することによる影響のダメージ【リスク3】と、経済の低迷や石油関連企業の腐敗スキャンダルなどが足を引っ張る格好での現職トップの政治基盤の弱体化【リスク6】の2つのリスクにブラジルが絡んでいます。

昨年10月に行なわれたブラジル大統領選挙では、大接戦を経てルセフ大統領がなんとか再選を果たしました。昨年は多くの新興国で政治トップを選ぶ選挙が行なわれましたが、選挙後の株式市場をたどってみると、インドやインドネシアとは異なり、ブラジルの株価指数はイマイチ。

2期目に突入したルセフ政権の課題は、財政規律の強化や、「ブラジルコスト」と呼ばれるインフラ不足、複雑な税制などの非効率なコスト解消に向けた構造改革です。

しかし、経常赤字の拡大傾向をはじめ、米国の金利引き上げが予想される中での新興国からの資金流出懸念、原油安による資源国全般の通貨安など、ブラジルを取り巻く経済環境には強い逆風が吹いています。

こうした厳しい状況が株価にも反映されている格好ですが、ルセフ政権が痛みを伴う改革を経てブラジル経済を安定的な軌道に乗せられるか、しばらくはその手腕が試されることになりそうです。

楽天証券経済研究所
シニアマーケットアナリスト
土信田雅之
新光証券などを経て、2011年
10 月より現職。ネット証券随
一の中国マニアでテクニカルア
ナリスト。歴史も大好きで、お
城巡りと古地図収集が趣味。


この記事は「ネットマネー2015年4月号」に掲載されたものです。