新体制で船出した日本代表に、韓国メディアも熱視線を送る。5-1で大勝したウズベキスタン戦では、ドローに終わった自国と比較するメディアも。(C) SOCCER DIGEST

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 ヴァイッド・ハリルホジッチ新監督の下、新たなスタートを切った日本代表に、韓国も熱視線を送っている。韓国とはなにかと因縁がある指揮官だけに、就任報道から予備メンバーを含め43名を選出した初の代表合宿まで、日本の主要メディアで報じられるニュースをくまなく翻訳、紹介してきた。
 
 もちろん、3月の2連戦に関しても同様だ。デビュー戦となったチュニジア戦は、
「ハリルホジッチの日本、気分の良い出発」(ネットメディア『MKスポーツ』)
「ハリルホジッチ、鬼神のような用兵術で最初のボタンをしっかり通した」(サッカー専門メディア『Inter Football』)
と伝えた。
 
 続くウズベキスタン戦などは、日本との対戦前に韓国が1-1で引き分けたことから、
「ハリルホジッチ2連勝、満点デビュー」(スポーツ新聞『スポーツ朝鮮』)
などと、韓国を上回る戦いぶりを披露したことを強調する記事が多かった。
 
 そんな韓国メディアのハリルホジッチ日本評で目を引いた記事をいくつか紹介しよう。例えばスポーツ新聞『イルガン・スポーツ』は、「内容も結果もグッド、日本がハリルホジッチに熱狂する理由」と題した記事の中でこう綴っている。
 
「ハリルホジッチ監督はJリーグを多く視察し、国内選手を積極的に起用した。2試合の先発リストに変化を与えながら実験を続けた。そうして選抜されたJリーグの選手たちがウズベキスタン戦でゴールを量産したのだから、内容、結果ともに完璧だった。
 
(中略)
 
 海外組に過度に依存せず、Jリーグの選手たちを直接目で見て登用するハリルホジッチ監督。韓国がシュティーリケ監督に熱狂したように、アジアカップの不振とハビエル・アギーレ監督の八百長疑惑に疲れていた日本が、ハリルホジッチ監督に熱狂する理由がそこにある」
 
 韓国のシュティーリケ監督もKリーグを積極的に視察して国内組の多用や発掘に力を注ぎファンやメディアから好評を得ているが、ハリルホジッチ監督にはシュティーリケ監督と共通点があるというわけだ。
 
 サッカー専門メディア『ベストイレブン』も、「日本を喜ばせるハリルホジッチ効果とは一体何か」と題したコラムのなかで、Jリーグの積極的な視察や、自らマイクを持って招集した選手の選出理由を説明したハリルホジッチのやり方を「意欲的で“監督らしい監督”」と評価しながら、シュティーリケ監督との共通点を強調した。
 
「シュティーリケ監督は徹底した検証を通じて選んだ選手たちに“やればできる”という意欲を吹き込むリーダーシップを発揮する。ハリルホジッチ監督も似ている。選手たちのモチベーションを奮い立たせ、その技量を最大限引き出すことに長けている。ただ、“やればできる”と言うのではなく、“しなければならない”と要求しているようだ」(『ベストイレブン』)
『ベストイレブン』は、戦術面でもハリルホジッチ効果があるとしている。
「ハリルホジッチは、パスだけ回してもっとも重要な目標であるゴールは忘れてしまう日本サッカー最大の弱点をすでに看破したようだ」としたうえで、ウズベキスタン戦で青山敏弘が決めた先制ゴールと柴崎岳の3点目に着目し、以下のように論じている。
 
「日本はこれまで絶好のカウンターの状況が与えられても、パスを回すことに執着しすぎて、その機会を台無しにしてしまう場合がかなり多かったが、ハリルホジッチのチームは隙あらばゴールを狙う果敢なプレーで得点を生み出した。定石的なプレーから脱皮し、ゴールを奪うことに焦点を合わせて挑戦的に勝負し、得点を生み出すこと。これこそがハリルホジッチ監督が日本の選手たちに強調している部分だ」(『ベストイレブン』)
 
 そして、こうした取り組みが日本サッカーにどんな変化をもたらすか注目すべきだとして記事を結んでいる。
 
「ハリルホジッチ監督は赴任するやいなや、日本の伝統的なサッカーの色彩に果敢にメスを入れた。これが今後、日本にどのような未来を与えてくれるか興味深い。特に韓日戦では過去のスタイルとは異なる日本と戦う可能性が高いという点で、大いに注目される」(『ベストイレブン』)
 
 韓国メディアも感じ取った日本サッカーの変化。ハリルホジッチ監督色が鮮明になればなるほど、韓国もますます興味と関心を高めることだろう。その興味と関心が “脅威”に変わる日は、意外と近いかもしれない。
 
文:慎 武宏(スポーツライター)