体重12gの渡り鳥が大西洋2600kmを三昼夜無着陸で縦断、ジオロケーターがルート解明

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体重わずか12gの鳥 Blackpoll Warbler (ズグロアメリカムシクイ)が、最長3日間も無着陸で飛びつづけ大西洋を渡っていることを米国の研究者チームが突き止めました。

観測に使われたのはジオロケーター(light Level Geolocator, GLS)と呼ばれるデバイス。環境光の明るさと時間だけを記録するためGPSよりも軽く、小さな動物にも取り付けることかでき、論争の続いてきた渡りルートの解明につながりました。
研究結果を発表したのは、米国の環境保全団体 The Vermont Center for Ecostudies(VCE)。鳥類の飛行ルート追跡には GPS などが使われていましたが、嵩張る上に重たい GPS 装置はカモメなど比較的大型の鳥にしか装着できませんでした。

ジオロケーター(Light Level Geolocator)は GPS と異なり、小刻みに光と時間を記録することで、日照時間の地域差などから位置の割り出す機器。1990年代から使われてきましたが、センサーやバッテリーといった技術の発展に伴いさらに小型が進み、今回の研究で使われたものは 0.5g と超軽量です。

VCEの研究者が回収したジオロケーターの記録を分析すると、わずか体重12gのズグロアメリカムシクイはバーモント州やカナダ東部のノバスコシア州から大西洋に出ると、そのまま南に向かって3昼夜、距離にして 2600km を飛び続け、無休息でカリブ海に浮かぶイスパニョーラ島へと到達していることがわかりました。

論文を共著した VCE の Chris Rimmer 氏は、この結果に「これは鳥類の中でも最も長距離連続飛行をした例のひとつ」と語っています。ズグロアメリカムシクイは森林に棲息する鳥。カモメなどのように水面に降りて休息をとるわけにはいかないことを考えると、これはかなり勇敢な行為と言えるかもしれません。

論文によると、ズグロアメリカムシクイはイスパニョーラ島に数日留まり食料を補給。そして飛び立ったあとはさらに南下し、赤道に近い北コロンビアやベネズエラで冬を過ごしています。

ズグロアメリカムシクイを含む鳴鳥は、過去に何度も著しい生息数の減少を記録しています。それには様々な理由がありますが、論文の共著者 William DeLuca は、海を渡る習性もこうした数の減少に関係している可能性があり、正確な飛行ルートの解明が保全につながるとしています。

なお、ジオロケーターを着けたズグロアメリカムシクイは春を迎える頃になると北米へと引き返し始めましたが、このときは西寄りのルートを通り、キューバからフロリダへと移動したのち、5月にバーモントやノバスコシアへと戻っています。

元論文は "Transoceanic migration by a 12 g songbird" :William V. DeLuca , Bradley K. Woodworth , Christopher C. Rimmer , Peter P. Marra , Philip D. Taylor , Kent P. McFarland , Stuart A. Mackenzie , D. Ryan Norris (Biology Letters)

ちなみに、ズグロアメリカムシクイには方向音痴もいるのか、大西洋を横断して欧州に到達した例も"レアケース"として存在します。