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東京大学(東大)と宇宙航空研究開発機構(JAXA)は4月6日、昨年12月に小惑星探査機「はやぶさ2」の相乗り衛星として打ち上げられた超小型深宇宙探査機「PROCYON」の運用成果を発表した。

「PROCYON」はイオンエンジンを搭載しており、2016年1月に小惑星に対する超近接・高速フライバイ観測を実施することを目標に航行を続けている。"超小型"の名の通り、大きさ約63×55×55×cm、重さ約65kgと、従来の探査機にくらべて大幅な小型化・軽量化が達成されている。

同探査機のミッションにはノミナルミッションとアドバンストミッションがあり、前者では地上局との通信、軌道決定、軌道制御などの基本技術の実証を目指す。後者では探査機の小型化・軽量化に有効と考えられている窒化ガリウム(GaN)高効率X帯アンプ、深宇宙での編隊飛行などの実現に必要な高精度VLBI航法などの技術の実証を行う。また、アドバンストミッションには前述の小惑星のフライバイ観測も含まれているほか、科学観測ミッションとして地球の周りを覆う水素の層であるジオコロナの観測が設定されている。

○エンジンにトラブル発生 - 計画変更の可能性も

今回「PORCYON」は、ノミナルミッションをほぼすべてを達成し、アドバンストミッションも一部達成した。特に、ノミナルミッションにおける太陽電池パネルの展開、発電量はほぼ想定通りで、同プロジェクトの中心人物である東京大学の船瀬龍 准教授によれば「JAXAの担当者も驚いていた」ほどの好結果を得る事ができたという。

また、アドバンストミッションではGaNを用いた高効率X帯パワーアンプによる通信に成功し、VLBI航法の実証においてもすでに実験を実施し現在データ解析を行っているとのこと。さらに、ジオコロナの観測も1月5日に実施し、論文作成向けてデータの解釈を進めている。

実験の成果を聞くと順調に思える「PROCYON」だが、現在はトラブルに見舞われている。3月中旬にイオンエンジンの定常運転が中断してしまったのだ。現在、4月末までを目標に復旧作業を進めているが、もし、それまでに復旧できなかった場合は今後の計画を変更する可能性がある。

実は同探査機に不具合が発生するのはこれが初めてではない。これまでも推進剤調圧制御ソフトウェアの不調、中和器電圧の異常上昇などを自律化機能や運用の工夫で乗り切ってきた。小惑星探査機「はやぶさ」が数々の困難を乗り越えて地球に帰還したように、「PROCYON」も今回のトラブルを切り抜けて当初の目的を達成することが期待される。

(神山翔)