以前は「優等生」とも称され、八百長問題でどん底の協会を支えた功労者が「朝青龍化」。問題行動の裏にあった野望!

春場所で自身の最多優勝記録を34回に更新した横綱の白鵬(宮城野部屋= 30)が千秋楽の優勝インタビューで見せた"25秒間の沈黙"。

NHKの太田雅英アナに「どんな気持ちで春場所に臨んだのか?」と聞かれ、長い沈黙のあと、「まあ、頑張ります」と答えたが、

「表情は硬く、とても大記録更新中の優勝力士とは思えませんでした。その沈黙が、横綱の"ある決心"を雄弁に物語っています」(白鵬の後援会関係者)

その決心というのが、「モンゴル大統領」就任という仰天プランだとか。

初場所前から、白鵬は、あるモンゴル人力士に「俺はモンゴルの大統領になる」と漏らしていたというのだが、最初は冗談半分だったかもしれないその意思を完全に固めたというのだ。

「この春場所では、14日目の大関・稀勢の里(田子ノ浦部屋)戦で立ち合い右へ変化し、横綱らしからぬ取り口だと、会場から罵声が飛びました。それだけでなく初日から横綱を取り巻く雰囲気は最悪。春場所ほど、横綱がアウェー感を味わった場所はなかったでしょうね」(前出の後援会関係者)

そのアウェー感が白鵬の仰天プランを後押ししたというのだが、それはすべて白鵬自身が招いたもの。

初場所で取り直しとなった一番に不満を爆発させ、場所後に「子どもでもわかる相撲」と審判部を批判。角界の先輩(審判部の親方衆)への敬意を欠いた発言がマスコミに糾弾されるや、ダンマリを決め込んだ。

「角界を支えた横綱に敬意を払ってきたマスコミからも、白鵬が片手で乱暴に懸賞を受け取ったり、勝負が決した相手にダメを押す所作に批判が集まりました」(スポーツ紙相撲担当記者)

北の湖理事長が慌てて

「いつまでも尾を引いてはいけない」と、収束に躍起になったが、それが逆に親方衆の不満を爆発させた。

「"理事長は白鵬に甘い"という不満です。特に審判部からは、春場所の番付編成会議で"白鵬を呼び出せ!""出場停止にすべきだ"という強硬論が噴き出していたんです」(同記者)

こうして始まった春場所では2日目以降、白鵬は支度部屋で報道陣に背中を見せ、"近寄るな!"というオーラを出し続けた。

「かつて白鵬のモンゴルの先輩・朝青龍(元横綱)が横綱の品格を問われ、最終的には傷害事件を起こして角界を追われましたが、今や、白鵬は完全に"朝青龍化"してしまいました。
今、日本相撲協会首脳が懸念するのは、最強横綱となって暴走を始めた白鵬が日本人力士に悪影響を与えること。つまり、日本人力士の"白鵬化"なんです」(協会関係者)

その象徴が、千秋楽のNHK『大相撲中継』での刈谷富士雄アナのコメント。

「礼儀や所作の部分で(白鵬は)もう1回、原点に返ることが必要。しっかりしないと、大横綱として認めてもらえない」

と苦言を呈したのだ。NHKのアナウンサーが実況中に、ここまで踏み込んだ発言をするのは極めて異例。

だが、その声は白鵬に届かなかった。

「優勝力士の一夜明け会見は普通、午前中に行われます。ところが、白鵬サイドが設定したのは午後1時。これじゃ、夕刊の締め切りに間に合わない」(前出の相撲担当記者)

これがマスコミへの嫌がらせだったかどうかはともかく、会見では「質問は相撲のことだけに限る」と通達があったという。結局、この会見でも審判部批判について、「もう終わったこと」と述べただけ。

これに激怒するのが、漫画家で元相撲協会外部委員の、やくみつる氏だ。

「謝罪する最後のチャンスを自ら棒に振り、これで一部の贔屓筋を除き、ほとんどの相撲ファンは白鵬と決別することになりました。逆に言うと、相撲ファンに対する白鵬の決別宣言でもあります。これから白鵬がいくら勝ち続けても、相撲ファンから祝福されることはないでしょう」

白鵬のアウェー感は増すばかりだ。

「協会は、八百長問題など苦しい時代を支えてもらった恩義は感じつつも、新たな人気者も出てきた今、もう用済みと考えている節もあります」(相撲担当記者)

そもそも、協会と白鵬の確執の元は、親方には日本国籍が必須という協会規約の"国籍条項"にあった。

白鵬は自分のツテで石浦(十両)ら3人を宮城野部屋に入門させた際、「白鵬の内弟子になる」という誓約書を書かせていた。内弟子とは、部屋付親方などが将来独立する際、自分の部屋に連れていく弟子のこと。

「つまり、横綱(白鵬)は引退後、一代年寄として自分の部屋を立ち上げ、親方になる気満々だったんです」(宮城野部屋関係者)

北の湖理事長は優勝24回で一代年寄となっており、白鵬は、日本に帰化せずとも一代年寄として協会に残れると思っていたという。そしてその後も将来の規約改正に望みをつないでいた。

白鵬を除去したい協会の意思

ところが、昨年7月、協会内部の強い声に押され、北の湖理事長が「年寄(親方)の資格があるのは、日本国籍を有している者に限る」と言明したのだ。

白鵬が尊敬する父ムンフバト氏は、モンゴル初の五輪メダリスト。その父は白鵬の帰化に反対しており、事実上、白鵬が親方になる可能性はゼロになった。

先のやく氏も「その苛立ちが"モンゴル大統領になる"という発言につながったんだと思います」と言う。

また、それは協会に気を遣う必要がなくなったことも意味する。こうして舌禍騒動を起こし、協会と対立することになった白鵬は、この春場所、味方であるはずのモンゴル人力士たちの"裏切り"にもあっている。

「春場所は、伊勢ヶ濱部屋勢の活躍が目立ちました。関脇・照ノ富士が白鵬を破り、千秋楽では横綱・日馬富士がその照ノ富士の援護射撃とばかり、白鵬を苦しめました。伊勢ヶ濱親方(元横綱・旭富士)は、白鵬が批判した審判部のトップ。角界の主流派が部屋を挙げて白鵬包囲網を敷いていたんです」(相撲担当記者)

ご承知のとおり、その両力士とも白鵬の同胞だ。

「白鵬は自身を除去したいという協会の意思を感じ取り、先輩の朝青龍のように追放されかねないと危機感を募らせています。彼は、そもそも朝青龍の"追放"にも不信感を抱いてましたからね」(スポーツライター)

春場所前、モンゴルの首都ウランバートルで、日本の国民栄誉賞に当たるモンゴルの「労働英雄賞」を授与され、エルベグドルジ大統領から「モンゴルの名誉を高めた」と称えられた白鵬。ここでも大統領への道を強く意識していただろう。

「大統領の被選挙権は"45歳以上・直近5年間のモンゴル在住"が条件。まず来年の春場所までは横綱として優勝を重ねて母国へ凱旋、並行して大統領選へ向けたビジネスを展開するプランだと聞いています」(前出のスポーツライター)

手始めに行っているのは、白鵬が北海道で栽培する"白鵬米"の販売。

「日本での事業は軌道に乗っています。モンゴルで、この白鵬米事業が成功したら、モンゴルの食糧事情は大きく改善。白鵬は名実ともにモンゴルの英雄になります」(モンゴル事情通)

実は、"いろんな意味で"白鵬の先輩である元祖暴れん坊横綱の朝青龍も「労働英雄賞」を受賞、母国で事業を展開、一足先にその道を走っているように見える。

白鵬が歩む、これからの道。その意味でも、白鵬は"朝青龍化"している――。