左・浅田舞写真集『舞』(集英社)/右・『浅田真央 Book for Charity』(学研教育出版)

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 3月23日に大胆な水着姿を披露した初写真集『舞』(集英社)を出版した浅田舞。その巨乳ぶりに注目が集まっているが、しかしそれだけでなく、ここ最近の舞の芸能界での活躍は目覚ましいものがある。バラエティ番組にも連日引っ張りだこで、大ブレイクといった様相だ。そんななかでも、舞が語る妹・真央との確執は大きな反響を呼んでいる。

 舞がそれを初めて口にしたのは昨年11月4日に放映された『徳井と後藤と麗しのSHELLYが今夜くらべてみました』(日本テレビ系)だった。フィギュアスケーターとしてその才能と知名度、好感度までをぐんぐん上げる妹に対し、舞は「傷ついたことがある」として、過去の荒れた生活を赤裸々に語ったのだ。

「20歳のころ、家出したり金髪にして」
「毎晩クラブで踊って、朝寝て夕方起きてまたクラブに行って」
「漫画喫茶とかに泊まっていたこともあった」

 さらに、妹との関係についても「めちゃくちゃ仲が悪かった。ほとんど喋らなかったんです」と告白している。その後もいくつかのバラエティで同様の発言をした舞は、最近も「女性自身」(光文社)15年3月31日号のインタビューに登場し、再び妹との確執や心中をこう語っている。

「真央が活躍するようになると『お姉ちゃんも頑張らなくっちゃね』と、声をかけられるようになりました。
 でも私としては頑張っているつもりなので、どうすればいいの? という気持ちでした。結果も出せず、ケガもしてしまって...」

 舞は家族といる時間がつらくなり、妹の存在自体が負担だったと告白したのだ。

 幼少期からフィギアに打ち込んだ姉妹。しかし、一方の妹が世界トップクラスの才能を開花させ、一方は成績が伸びず妹をサポートするような役割に。さらに母親は妹に付きっきり。そんな特殊なフィギュアの世界での特殊な姉妹関係での確執──しかし実は、こうした姉妹の関係は決して特殊なものではないという。

『きょうだい メンタルヘルスの観点から分析する』(藤本修・編/ナカニシヤ出版)によると、姉妹、きょうだいの確執は旧約聖書にまで遡る歴史がある。それが今でもカイン・コンプレックスとして知られる兄の弟殺し神話だ。

 神への供え物として羊の血と肉を献上した兄・カイン。そして穀物を育て献上した弟・アベルだったが、神の意図を汲まなかったとしてカインは神に疎まれ、嫉妬した兄は弟を殺してしまう。

〈きょうだいのもっている性格、活動に対する神の対応の相違が、兄のこころの中にひどい敵意を引き起こしたいきさつが示唆されている。親がもつ子どもへの好意の程度、子どもが感じ取る『あつかい』の違いなどから、子どもが敵意や恨みという感情を体験するのは避けられない〉

 それはもちろん現代でも同様だ。きょうだいは永遠のライバルでもある。遺伝子の50%が共通しているというが、性格や能力、外見などは似て非なるもので、しかも生まれた瞬間から親の愛情を奪うライバルなのだから、その関係は複雑だという。とくに思春期にはそれが顕著で、「親は妹(姉)ばかり可愛がり、自分を愛していない」と感じたことが一度でもない人はいないのではないか。

 さらに本書には、ある姉妹の葛藤のエピソードが書かれている。医学部に通う2歳年下の妹がいるBさんは、どんな職に就きたいかも分からず就職活動に失敗し、うつ状態となりカウンセラーを受けた。その際、彼女が語ったのは、妹への"思い"だったという。

「昔から母親に愛されているという実感がもてなかった。母親は妹のことしか見ていなかった。(略)妹は小さいときから勉強ができたし、私よりきれいだし、すべてにおいて私より上だった。妹さえいなければ、という思いを捨てることが出来なかった」

 優秀な妹と凡人の自分に対する両親の扱いに不満を持つ姉。そして妹に敵対感情さえ抱いていたという。だがその感情は、〈人間として誰もが持ち得る普遍的かつ根源的な感情〉だという。きょうだい関係は本来において不条理であり、それを乗り越えることが〈おとなになる〉ことだからだ。

〈きょうだいはそれぞれ、家の中で何らかの役割を背負わされる。(略)どのような役割を担うかを、人の側は選ぶことができない。Bさんが妹を羨んで、妹の役割に取って代わろうとしても、それはできないのである。(略)さらにいえば、人は生まれてくる環境や状況を選ぶことはできない。根本的に人生は不平等なものである〉

 だからこそ、大人になるということは、こうした理不尽さや不条理を引き受け、受け入れ、その関係を見つめ直すことができるようになることだという。姉妹きょうだいの確執は当然で、それを乗り越えること、そしてその後の関係こそが大切と指摘する。

 そういう意味でも、26歳の舞がいま、妹との確執を自らの口で語り、公表できたということは、長年抱えていた複雑な思いをようやく乗り越えたということではないか。それは現在のタレントとしてのブレイク、そして舞がようやく確立できた自身への自己肯定や自信と無関係ではないだろう。

 そしてもうひとつ大きかったのは、母親の死だという。11年に逝去した母・匡子さんはフィギュアに打ち込む浅田姉妹を全面的にバックアップするなど、姉妹にとってはあまりに大きな存在だった。

「こういう言い方はおかしいのかもしれませんが、母を失ってしまったことで、お互いを支え合っていこう、という気持ちになれましたし、より姉妹の絆が強くなったと思っています」(前出「女性自身」より)

 これまでの"見せかけ"の仲ではなく、本当の姉妹関係が始まるのかもしれない。
(林グンマ)