そろそろ春の健診だ。このところ診断基準がちょこちょこ変わり、現場も少々混乱気味。ここらで整理しておこう。

 中高年・メタボ諸氏がまず、注意すべきは血圧値。心筋梗塞はもちろん、日本人に多い脳卒中の発症リスクなので、本人ばかりか家族の将来にも影響を及ぼす。

 日本高血圧学会の診断基準(2014年版)によると、高血圧と診断されるのは、診察室血圧で140/90mmHg以上。早期発見・早期治療は高血圧も同じで、放置期間が長くなるほど心疾患や脳血管疾患リスクが上昇する。指摘されたら、生活習慣の見直しはもちろん、降圧剤の服用が必要か否か医師に相談するといい。

 もう一つ気になる検査値はおなじみの善玉・悪玉コレステロール値だ。日本動脈硬化学会の疾病予防ガイドライン(12年版)では、正常と脂質異常症とのボーダーライン群として、悪玉・LDL-C(コレステロール)値120〜139mg/dLの「境界域高LDL-C血症」が新たに登場。即、脂質異常症の治療薬を飲むほどではないが、加工食品を控え、食物繊維をたっぷり含む大豆製品や野菜、海藻をたくさん食べる食習慣を心がけたい。

 さらに、最近注目されているのは善玉コレステロール以外の脂質全般を指す「non(非)HDL-C」だ。先月報告された米国の研究によると、30代の若いうちから非HDL-C値が160mg/dL以上の人は、たとえ血圧値や血糖値が正常で標準体重でも、中高年期の心疾患リスクが4倍に上昇するという。日本人の非HDL-Cの適正値はまだ曖昧だが、一説によると、140mg/dLが心疾患リスク上昇の分岐点らしい。

 さて、非HDL-Cの計算式は、総コレステロール(TC)値から善玉・HDL-C値を引く、という単純なもの。たとえば、TC値が200mg/dLでまあまあでも、HDL-C値が20mg/dLなら非HDL-C値は180mg/dLと、危険区域に入る。非HDL-Cを減らすには前述の食物繊維の摂取に加えて、善玉脂質が豊富な青魚を食べ運動時間を増やす、というのが常套手段である。

(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)