パリのレストランで「人種差別」は多いのか(写真はイメージ)

写真拡大

ミュージシャンのGACKTさん(41)がフランス・パリのホテルのビュッフェで差別的な対応を受け、店員に説明を求めたことをネット上で明かしたところ、フランス在住の日本人から共感の声が相次いでいる。理不尽な店員の対応については「相手を徹底的に問い詰めるべき」「ビシッと言い続けることは大切」という声が多い。

ただ、こういった問題が「差別」とはっきり分かる形では表面化しにくく「このレベルでそれ考え出すと生きていけない」という声もある。GACKTさんの体験は、かなり根深い問題も含んでいると言えそうだ。

辻仁成「おいらは相手をじっと睨みつけ、最後は日本語で罵倒します」

GACKTさんが3月30日に会員制サイト「ブログマガジン」で明かした内容によると、入り口近くの席に座ろうとしたところ、店員に奥の席に座るように促された。ただ、後に入ってきた白人客はその入り口近くの席に通され、次に入ってきたアジア人の客は、やはり奥に通された。その結果、周辺は「ボクを覗くと(原文ママ)ほぼ中国人と韓国人でパンパンになった」。GACKTさんが一度退席して再び入り口近くの席に座ったたところ、再び店員がやって来て奥の席に誘導しようとした。その理由を説明するようにフランス語で迫ったところ、

「諦めたのか向こうに行って他の店員となにやらボクを見ながら話していた」

という。

一連のGACKTさんの体験に、フランス在住日本人からは様々な声があがっている。作家でミュージシャンの辻仁成さん(55)は

「彼の対応、よいね。差別されたと感じたら、パリでは、相手を徹底的に問い詰めるべき。ただ差別してるのがフランス人とは限らない。堂々と挑めば差別は受けにくい、とおいらは思う。おいらは相手をじっと睨みつけ、最後は日本語で罵倒します」

とツイート。GACKTさんの毅然とした対応を称賛した。

「ひどいと思うけど、人種差別では無いと思う」という指摘も

GACKTさんは自らの体験を「ものすごく分かり易い差別だよ」と憤っている。この点については、異論を含めて様々な解釈があるようだ。

ブロガーのulala franceさんは、パリを訪れた旅行客が安い値段が載っていないメニューを渡されたり、アジア客が外側のガラス張りの席に座らせてもらえないといった事例が「フランスのテレビでもよく紹介されてて、問題視されてる」として、「ビシッと言い続けることは大切だと思うわ」とツイートしている。ただし、GACKTさんの事例については、「ひどいと思うけど、人種差別では無いと思う」と指摘。人種が原因かどうかにかかわらず、GACKTさんが少なくとも店側が「窓側に座らせたい」種類の人ではなかったとの見方を示した。

「だいたい飲食店はフランスでも日本でも『窓際の席は見栄えのいい外国人やモデルのいわば指定席。店のイメージアップにつながる人を意図的に座らせる』ことが行われていて、そのホテルの見栄えの基準が白人だっただけだと」

翻訳家の「uni (ジャスミン男)」さんは、前出の2人とは違い、声を上げること自体がリスクになるという意見をツイート。問題の複雑さを浮き彫りにしている。

「フランスでは差別という言葉を使って他者を非難するのは差別することそのものよりもリスクが大きい行為、差別だといい始めるとコトを荒立てるのは間違いないので、動かない証拠があっても申し立てるにはかなり勇気がいります」
「フランス在住者的には『露骨』ではないし『差別だという証拠はない』ということになる。差別の可能性だって本当はあるのですが、このレベルでそれを考え出すと生きていけないのであえて思考停止して生きるわけです」