「Newton5月号」の特集テーマは「曲がる!落ちる!ゆれる!魔球の科学」

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今週発売の『週刊少年サンデー』の巻末コメント。
「今までついた一番大きな嘘は?」という質問に対して、『MAJOR 2nd』を連載中の作者、満田拓也が「ジャイ●ボール」と答えたことがTwitterなどネットで話題となっている。

「ずっと気にしてたのか」といったコメントやツッコミが並ぶとともに、これらのツイートを見て『MAJOR』の続編『MAJOR 2nd』が始まったことを知った人もいて面白い。

あの茂野吾郎、佐藤寿也の子どもたちが(今後)活躍する(だろう)『MAJOR 2nd』の話はまた別にするとして(今週号が第4話なのでまだまだ追いつけます!)、今回は「ジャイロボール」の話をしたい。

作者である満田先生は「嘘」として告白してしまったのだが、時を同じくしてあの一流科学雑誌『Newton』最新号で、これとはまた違った見解を示しているのだ。

先週発売された『Newton5月号』の特集テーマは「曲がる!落ちる!ゆれる!魔球の科学」(魔球の申し子、星飛雄馬の表紙が目印)。『サンデー』と『Newton』、本来交わるはずのない2冊の雑誌が同じタイミングで「ジャイロボール」を話題にするという奇跡的なコラボレーションを果たしている。

『Newton5月号』では今季から日本球界に復帰した松坂大輔が西武時代に投げていた「縦スライダー」が《回転軸が進行方向を向いた「ジャイロスピン」をする球》として紹介。福岡工業大学の溝田武人名誉教授による映像分析結果などを交え、見開き2ページを使ってジャイロスピンする魔球の正体について考察する。

ちなみにこの中で《似たようなスピンのボールは、漫画の『MAJOR』(作者:満田拓也)でも登場する、野球漫画ファンにはおなじみの球だ》として紹介。

《ただし、ジャイロボールが何を指すのかもあいまいで、「そんな球は存在しない」「他の変化球の投げそこないでしかない」といった声も根強い》と注釈を入れていたりもするのだけど、満田先生が「嘘」と言ったタイミングも含めて、なんとも味わいのある記事になっている。

この奇跡的な邂逅はそれとして、『Newton』魔球号の他のテーマも見ていこう。

魔球のキーワードは、ボールの回転と空気の反作用によって生じる「マグナス力」。この「マグナス力」がどのようにボールの変化に影響を与えているのか? 実在する「魔球のような変化球」がどのような物理現象によって変化しているのかをイラストや実験結果を元に解説していく。

魔球の宝庫、野球で取り上げられるのは「ジャイロスピン」以外にも……
◎ダルビッシュ有の七色の変化球
◎史上最速170キロの球の物理現象
◎大魔神・佐々木主浩と、フォークの神様・杉下茂のフォークの違い
◎魔球ナックルのボールの行方
といった、球史に残る「スゴイ変化球」たち。

他にもサッカー、ゴルフ、テニス、バレーボール、卓球で一流プレーヤーたちだけが実現できる変化球を考察。
具体的には……
◎【サッカー】ピルロの曲がりながら落ちるシュート
◎【サッカー】本田圭祐の「無回転シュート」
◎【ゴルフ】バッハ・ワトソンの400ヤードショット
◎【テニス】ナダルの急降下する「エッグボール」
◎【バレーボール】ゆれる魔球「フローターサーブ」
◎【卓球】福原愛の得意技「王子サーブ」
などが詳しく解説されている。

たとえば、本田圭祐の「無回転シュート」は野球の「ナックルボール」のようなもの、と説明される場合が多いものの、この2つの変化球の物理現象は全く別物だという。

他にも《理想的なバナナシュートのけり方は、ボールと足の衝突面に垂直な方向に対し、けり足のスイング方向が35°程度の場合》と真面目に記述しているのがちょっと面白い。

あと気になったのが《高校の物理では、「空気の影響を無視できる場合、ボールは地表に対して45°の角度で投げると、最も遠くまで飛ぶ」と習う》と断言されていること。えーっと、習ったんですかね? 憶えてなくてすみません。

いずれにせよ、《『巨人の星』で星飛雄馬が……》とか、《『ドカベン』でフォークボールは……、《『キャプテン翼』で大空翼と岬太郎が2人同時に……》といった文言はもう二度と『Newton』では出てこないと思うので、そこを眺めるだけでも結構楽しいです。
(オグマナオト)