U−22日本、リオ五輪アジア予選で苦戦も…拮抗した真剣勝負の経験は活きる

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文=戸塚啓

 爽快感を運ぶ予選突破ではなかった。3月27日から31日にかけてマレーシアで行われたリオデジャネイロ・オリンピックのアジア1次予選である。

 初戦のマカオには7−0で大勝したものの、ベトナムには2−0、マレーシアには1−0の結果に終わった。決定機に得点が比例せず、拙攻の印象を残した。最終予選で対戦するアジアの強豪クラスが相手になると、そもそも決定機を作れるのか、という疑問さえ噴出している雰囲気がある。

 リオ五輪世代は、攻撃と守備で二極化が進んでいる。櫛引政敏(清水エスパルス)、植田直通(鹿島アントラーズ)、岩波拓也(ヴィッセル神戸)、遠藤航(湘南ベルマーレ)らの最終ラインとボランチの選手が所属クラブで定位置をつかんでいる一方で、攻撃陣で定位置をつかんでいる選手は少数派だ。手倉森誠監督のもとで得点源なっている鈴木武蔵(アルビレックス新潟)や中島翔哉(FC東京)は、U−22Jリーグ選抜の“お世話”になっている。

 海外組の久保裕也と南野拓実は、クラブでもピッチに立っている。ただ、彼らはU−22日本代表の活動にスポット的にしか参戦できない。「この年代のベースは国内組」と手倉森監督が話すのも、海外組がオプションになるぐらいの底上げを望んでいるからに他ならない。

 だからといって、大勝は必須条件だったのか。

 同時期に開催された他グループの予選では、韓国が東ティモール相手に3点しか取れなかった。FIFAランキングが188位(マカオよりもひとつ下)の相手に3−0である。中1日の3連戦で結果と内容を両立させることには、どの国も苦労する。

 ベトナムもマレーシアも、5バックの守備的な布陣で臨んできた。ピッチコンディションも試合ごとに劣悪となっていった。しかも手倉森監督は、久保と南野の融合にとどまらないテストを進行させていた。3試合連続スタメンはキャプテンの遠藤ひとりだけで、第3GKを除く22人が出場した。そうした状況を踏まえれば、拙攻の印象も変わってくるだろう。

 ベトナムやマレーシアは、勝って当然の相手である。それは否定しない。だが、真剣勝負で必ずしも大勝してきたかと言えば、決してそうではない。

 北京五輪最終予選では、ベトナムに1−0という記録が残っている。ロンドン五輪最終予選では、マレーシア戦で2−0という結果がある。いずれも日本のホームゲームだ。アジアのレベルは相対的に上がっている。ディフェンスを固めてきた相手を真剣勝負でこじ開けるのは、簡単ではないのだ。

 他ならぬ選手たちは、3月11日のミャンマー戦から続いた活動で前進を感じている。右サイドバックとして2試合に先発した松原健(新潟)は、「これまでできなかったところが、できるようになった部分はあります」と話した。キャプテンの遠藤も「監督のやりたいサッカーはかなり浸透している」と語っている。

 そのうえで、「そのクオリティというか、目指すサッカーのレベルをどんどん上げていきたい。まずはチームに帰って、一人ひとりが試合に絡んでいくようにしたい」と遠藤は続けた。

 所属クラブでの地位向上は、手倉森監督が求めるものでもある。チーム戦術の浸透具合や試合運びに成長を読み取りつつも、さらなる「個の成長」を待ち望んでいる。

「バランスとか組織を強調すると、その部分が良くなってきたときに個の良さが消えてしまいがちなところがある。そこは消してほしくない。そこの部分はクラブに帰って、自分の武器を磨くように要求したい」

 ハリルホジッチ新体制となったA代表がウズベキスタン戦で見せたような快勝劇は、爽快さを運んでくる。明るい未来を描きやすい。

 だが、五輪予選は真剣勝負である。グループ2位で最終予選へ進出したベトナムの三浦俊也監督は、日本戦後に「選手たちは非常に高い集中力でプレーした。日本に対して臆する選手もいなかった」と話している。ベトナムとマレーシアを相手にロースコアの拮抗したゲームを勝ちきった経験は、最終予選でも活かされるはずだ。