日本代表の新たな可能性…インパクト残した宇佐美、柴崎ら92年プラチナ世代

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文=元川悦子

「明日のメンバーは1試合目と全く違う。リスクが少しありすぎるかなと思うが、ほとんどの選手を使おうと考えています」

 ヴァイッド・ハリルホジッチ新監督が前日会見で公言した通り、31日に行われたウズベキスタン戦の先発は27日のチュニジア戦(大分)から11人全員が入れ替わった。とはいえ、トップに岡崎慎司(マインツ)、2列目右に本田圭佑(ミラン)、トップ下に香川真司(ドルトムント)、ボランチに今野泰幸(ガンバ大阪)と青山敏弘(サンフレッチェ広島)、最終ラインに内田篤人(シャルケ)、森重真人(FC東京)、酒井高徳(シュトゥットガルト)、GK川島永嗣(リエージュ)と2014年夏に行われたブラジル・ワールドカップのメンバーがズラリと並ぶ。抜擢という表現がふさわしかったのは、代表デビューの昌子源(鹿島アントラーズ)くらい。1月のアジアカップ(オーストラリア)では同じ92年生まれの武藤嘉紀(FC東京)、柴崎岳(鹿島)の後塵を拝する格好となった昌子としては何としてもこのチャンスをモノにしたかった。

「困ったら俺のところにボールをぶつけてくればいい。敵がいてもいいから出して来い」と鹿島の先輩である内田から力強いアドバイスを受け、ピッチに立った昌子。Jリーグにはいないタイプの屈強なフィジカルを有するFWナシモフとの対峙に苦戦しつつも、肝心なところでは体を当てていく。「自分の中で迷いはありましたね。『ここ行くんかな』とか。その迷いがこのレベルになるとゴール前まで運ばれるし。5日間とかの短い期間の練習やったし」と昌子は戸惑いながらも懸命に奮闘し続けた。

 青山の芸術的ミドル弾で先制し、1−0で折り返して迎えた後半。内田に代えて投入した太田宏介(FC東京)の精度の高いクロスから岡崎が代表通算43点目をマークすると、新指揮官は宇佐美貴史(G大阪)、柴崎という昌子と同じ22歳のプレーヤーを立て続けに送り出す。宇佐美は左FW、柴崎は本職のボランチではないトップ下でのプレーだったが、疲労困憊の相手が間延びしオープンな展開になったこともあって、持ち味を存分に発揮する。そして80分、相手FKから大迫勇也(ケルン)がインターセプトしたボールを受けた柴崎が、飛び出してきた相手GKの位置を見逃さず、45メートルの超ロングループシュートを放つ。岡崎が相手をブロックしてくれてボールは無人のゴールに吸い込まれる。「GKは見えていたので、かわそうかそのまま打とうか迷ったんですけど、オカさんのアシストもあったので、うまく決められれてよかったです」と国際Aマッチ7試合目で3ゴールを挙げた本人も岡崎への感謝を口にすることを忘れなかった。

 この柴崎弾に大きな刺激を受けたのが宇佐美だ。相手にリスタートから1点を返された直後の83分、大迫からのパスを受けた若武者は得意のドリブルで中央突破を見せ、そのまま豪快に右足を振りぬいてゴール。代表デビュー2戦目で待望の初得点を決め、柴崎とがっちりと抱き合って喜びを爆発させた。

「13歳の時からずっと岳とはやらしてもらってますし、先に岳が代表に呼ばれて、代表で点を重ねてるっていうのがあるし、岳が先に取ったんで、自分も取りたいなって気持ちにさせてくれました。岳は点を取って全くゴールパフォーマンスしなかったですけど、俺はなんか情けないな、ちょっと落ち着きないなと(苦笑)。それも岳らしいですし、僕らしいというか。僕ら22歳の世代がらしさを出せた試合かなと思います」と初招集から4年でついに代表ゴールという結果を出した宇佐美は感慨深げな表情を浮かべていた。

 終わってみれば、昌子がフル出場、柴崎&宇佐美がアベックゴールと、92年生まれのプラチナ世代が想像以上に大きなインパクトを残すことに成功した。この日は出番がなかったものの、武藤もチュニジア戦ではタテへの鋭い攻め上がりを随所に披露。ハリルホジッチ新監督の求めるアグレッシブなサッカーに十分適応できるところを示していた。

「この年代で出ないといけないってことはみんなそれぞれ思ってるし、2人(柴崎と宇佐美)は点も決めてますし。岳はずっとチームメートでやってるけど、宇佐美がこんなに頼りになるんやって。苦しい時に決めてくれるしね。よっち(武藤)も含めて4人ですけど、俺らの年代からそれ以上の選手が入ってピッチで結果出せるようになったらいい。お互い高めあっていきたいですね」と昌子は全員に共通する思いを代弁した。

 アジアカップで世代交代の遅れを指摘された日本代表だが、このように20代前半の若い才能が次々と台頭してくれば、3年後のロシア・ワールドカップにも明るい希望が見えてくる。彼らの活躍はこれまでの主力組の危機感を煽ることにもつながる。香川も「若い選手も出てきて結果残してね、いいチームになってきてると思う。そういう中で自分ももっと最後のところで相手に脅威になれるように。ドルトムントで結果を残すことが一番だと思います」とクラブでの飛躍を期していた。

 いい相乗効果が生まれつつある新生・日本代表。今後が一層、楽しみになってきた。