愛娘に捧げるスーパーボレー…先制弾の青山敏弘「ロシア行きの船に乗りたい」

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文=青山知雄

 糸を引くような美しい弾道が、ゴール右上に突き刺さる。「素晴らしいボレー。テクニックはパーフェクト!」とヴァイッド・ハリルホジッチ監督が手放しで称賛するほどの強烈な一撃。日本代表MF青山敏弘(サンフレッチェ広島)の代表初ゴールは、人々の記憶に残るスーパーゴールとなった。

 3月31日に行われたウズベキスタン戦。乾貴士(フランクフルト)の左CKが相手GKに弾かれたボールが1バウンド、2バウンド……とピッチ中央へ押し戻されていく。そこに走り込んだ青山が右足一閃。東京スタジアムは彼の右足から放たれたシュートで一瞬の静寂に包まれた後、まさしく興奮の坩堝と化した。「一昨日、娘が5歳の誕生日だったのでゴールは意識していた」という殊勲のヒーロー。だが、得点後こそ力強いジャンピングガッツポーズで喜びを露わにしたものの、ミックスゾーンでは極めて冷静な口調を崩さなかった。

「今日のミーティングでも監督からも『狙っていけ』と言われていたし、来たら打とうと思っていた。フリーだったんで、力まずに落ち着いて蹴ることができた。ふかさないようにはしましたけど、何も考えず、しっかりミートして枠に飛ばすことだけを意識しました。まあ、入って良かったですね。やっぱりゴールは特別。決めなければ評価されないことは分かっているんで」と微かな笑みを浮かべながら淡々とゴールシーンを振り返った。

 ハリルホジッチ監督が長年、日本代表の中盤を支えてきた遠藤保仁(ガンバ大阪)を今回のメンバーから外し、ロングキックやミドルシュートといった攻撃面で青山に懸かる期待は大きい。だが、自身は「遠藤さんどうこうじゃなくて、まずは自分がボランチとして攻守でしっかりパワーを持ってやれるかどうか。それができないと自分は日本代表にいられないと思う。ボールを落ち着かせるんじゃなくて、どんどんボールを前に入れていくことを求められていると思うし、そういうプレーをもっと高いレベルでやっていきたい」と足下を見失わず、指揮官が目指すスタイルへの順応に高い意識で取り組んでいる。

 ブラジル・ワールドカップ惨敗から約300日。このウズベキスタン戦は彼にとっての新たな第一歩でもあった。思い返せばブラジル大会は予選を経験せず、直前にメンバー入りして本大会に臨み、当時は「前から代表に入っていた選手にアドバンテージがあった」と感じていた。

 だが、今回は違う。「ワールドカップはもう過去のこと。ロシアに向けて新しい監督が就任して最初に呼ばれたのは非常に大きい。新しい代表チームで、新しいやり方で、新しい勝利の勝ち方を求めている。それができないと置いていかれる」と先を見据える。そして続けざまに力強く語った。

「ロシア行きの船に乗りたい」

 強烈な一撃でスタジアムを沸かせたボランチは、今までの経験と思いを込めた印象的な言葉を残して、ミックスゾーンをあとにした。