遅れてきた野獣の一撃…川又が自慢のフィジカルを生かして代表初ゴール

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文=青山知雄

 遅れてきた“野獣”が、待望の一発に力強く雄叫びを上げてピッチを駆けた。

 31日に東京スタジアムで行われたウズベキスタン戦の試合終了間際、ついに川又堅碁(名古屋グランパス)が結果を出した。柴崎岳(鹿島アントラーズ)の右CKから森重真人(FC東京)がヘディングシュート。このこぼれ球を再び森重が頭でつなぐと、中央の川又が自慢のジャンプ力を生かして打点の高いヘッドで強引にねじ込んだ。

 日本代表初ゴールに歓喜を爆発させた川又は「どう喜んでいいか分からなかった」と苦笑いを浮かべつつ、「自分はFWなので、ゴールを決めないと評価されない。次からも決め続けなければ」と引き締めた表情を見せた。

 記念すべき代表初ゴールは、強烈な危機感を抱いていた末の一撃だった。今シーズンは名古屋で定位置を獲得できておらず、ようやく初スタメンを手にしたのはヤマザキナビスコカップの川崎フロンターレ戦。その試合をヴァイッド・ハリルホジッチ新監督が視察に訪れ、持ち前のアグレッシブなプレーに加えて終了間際に豪快なボレーシュートを叩き込んだことで指揮官の目に留まっていた。

 監督が読み上げた日本代表メンバーではバックアッパーとしての選出だったが、小林悠(川崎)の負傷辞退を受けて追加招集されると、27日のチュニジア戦(大分)でスタメン出場の機会を得る。だが、決定的なヘディングがクロスバーに阻まれるなど結果を出せずに72分間でピッチを退くと、途中出場した本田圭佑(ミラン/イタリア)や香川真司(ドルトムント/ドイツ)、岡崎慎司(マインツ/ドイツ)らが存在感を見せてゴールをマーク。さらにウズベキスタン戦でも岡崎が2戦連発となるダイビングヘッドを叩き込み、82分に自身が投入された直後には宇佐美貴史(ガンバ大阪)が代表初ゴールを決めた。続々とライバルが結果を残す中、川又は85分に左からの折り返しに飛び出して、決定的なタイミングで左足でのシュートを放ちながらGKのセーブに遭ってしまう。

 ゴールという結果に飢えながら、どうしてもネットを揺らすことができていなかった。だからこその咆哮だった。このゲームには自分自身の結果に対して「強い意志を持って臨んだ」という。そして「それが敵を上回ったからゴールを決めることができた」と振り返る。

 ハリルホジッチ監督の代表チーム始動においては、代表招集も結果も一番最後だった。自分は「このチームで一番ヘタくそやと思ってる」と語る。海外組との距離も「まだまだ遠い」と認識する。だが、その距離を肌で感じられたのも事実。手応えも見えている。何より他の選手には負けない強靭なフィジカルがある。あとは名古屋に戻って成長していくのみ。遅れてきた川又堅碁が、日本代表で得た課題と宿題を手に、Jリーグでさらなる爆発を誓う。