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●ギネス認定紙飛行機は何がすごいのか、熱流体解析ソフトでシミュレーション突然ですが、皆さんは紙飛行機を飛ばしたことがあるでしょうか。

たぶん、多くの人が子どもの頃に一度は折って飛ばした経験をお持ちなのではないかと思います。僕も小学生の頃はよく学校でもらうプリントを折って投げては叱られていました。

そんな紙飛行機ですが、実はめちゃくちゃ奥の深い競技だということは、あまり知られていないのではないでしょうか。

ちゃんとギネス記録も認定されており、その距離はなんと69.14m! 約70mです。70mといったら全力で走ったって10秒くらいはかかる距離ですよ。屋内の無風環境で記録した数値ということなので風の影響ってわけでもないですし、いやはやすごい世界ですよね。

で、ふと思ったのですが、70m飛ぶギネス紙飛行機も、僕が昔折って飛ばしていた紙飛行機も、同じ1枚の紙を折って作っているわけですよ。それなのに、そんなに飛距離が違うって、いったいどういう力が働いているのでしょうか。

ここはひとつ、ギネス紙飛行機と普通の紙飛行機を用意して、実際に飛ばし比べてみようじゃないですか。

ということで、実験のためにやってきたのはマイナビ社内。せっせと紙飛行機を折るわれわれを、まじめなセミナーを終えてぞろぞろと出てくるスーツの皆さんがガン見。こ、これも仕事なんです!

ギネスに認定された紙飛行機の折り方はネットで公開されているのですが、そちらを見てしまうと知らず知らず影響を受けて真似してしまいそうなので、僕はギネスの折り方は見ずに自分の記憶を頼りに折ることにしました。

ところが、ここで問題が……。

紙飛行機って、どうやって折るんだっけ……。

そうなんです、子どもの頃にはあれだけ紙飛行機を折りまくっていたクセに、数十年経つともうすっかり折り方を忘れてしまっていたのです。加えて、今回の用紙がギネス方式に合わせて長方形だったこともあり、正方形でしか折った記憶のない僕は大混乱。

何とかかんとか辻褄を合わせて飛行機の形に無理やりしたものが、こちらになります。

……。

編集「なんですかこれ。ゴミですか」

紙飛行機……です……。

何という劇的ビフォアーアフターでしょう。長方形の真っ白な用紙が、この通り、単なる紙くずに!

いや、違う。これは飛行機です。そう、ギネスに対抗するために折った山田井スペシャルです。

編集「私が普通のやつを折りますね」

……。

いきなり出鼻をくじかれましたが、ここまでは前置き(!)。

ここからがいよいよ本番です。

ギネスの紙飛行機と、いわゆる一般的な折り方で作った普通の紙飛行機、そして、お情けで山田井スペシャルも一緒に飛ばすことにしました。

さて、どの紙飛行機が一番飛ぶのでしょうか? 順当に行けばギネス紙飛行機になるはずですが、意外と山田井スペシャルがミラクルを起こしたりして……そのときはちゃんとギネス認定してもらわないと。

さて、さっそく飛ばしてみましょう!

●ギネス紙飛行機の実力は…?!まずは普通の紙飛行機からいってみましょう。投げ方によって成功したり失敗したりしそうなので、3回投げて成績のよかった記録を採用することにしました。

ほいっ!

普通の紙飛行機はやはりごく普通に飛び……距離は670cm! おお、なかなかいいんじゃないですか? 最初だからまだ何とも言えないけど。

さて、次は大本命のギネス紙飛行機。果たして670cmという記録を超えられるのか?

結果は……なんと1074cm! 10m超えが出ました! さすがにギネス記録には遠く及びませんでしたが、それでも普通の紙飛行機をはるかに上回る好成績をたたき出しました。これはすごい。やっぱりギネス紙飛行機は前評判通りすごかった!

ただ、最後に大穴が控えています。本命が逃げ切ると思わせておいて、最後に伏兵が差し切るのがレースの怖さ(レース?)。山田井スペシャル、いざ発進!

……。

結果は219cm。納得いかずに何度か投げてみましたが、いずれも200cm前後と、安定した低成績を記録しました。投げた瞬間は勢いよく飛び出すのですが、2m付近で見えない壁があるかのように垂直に落下するのです。ある意味、すごくないか、この安定感。

編集「ていうか、最初の方も飛んでいるんじゃなくて、単に投げた勢いですよね」

……。

さて、黒歴史と化した山田井スペシャルはさておき、結果は見事にギネス紙飛行機が圧倒的な飛距離で1位となりました。ギネス記録はまぐれではなかったわけですが、そうなると最初の疑問が再び湧いてきます。

なんで、ギネス紙飛行機はそんなに飛ぶんだろう?

そこで、紙飛行機にいかなる力が働いているのかを、熱流体シミュレーションソフトを専門に開発しているソフトウェアクレイドルさんに、今回特別に普通の紙飛行機とギネスの紙飛行機の違いをシミュレーションで比較していただきました。

●普通の紙飛行機とギネス紙飛行機の違いとは?ソフトウェアクレイドルさんによると、普通の紙飛行機とギネス紙飛行機の違いは、翼の先端部分にあるのだといいます。

ご覧いただくとわかりますが、普通に折った紙飛行機の場合、大きな2枚の翼よりも前側に、尖ったボディ部分が突き出しています。この出っ張り部分が空気の流れを乱してしまい、機体の片面のみに大きな力(圧力)がかかり、左右のバランスが崩れやすいのだとか。少しでも機体バランスが崩れると、紙飛行機はローリングしながら落ちてしまうのだそうです。そういえば、紙飛行機が落ちるときってたしかに裏返しになっていることが多いですよね。

ギネス紙飛行機にはこの翼部分の出っ張りがなく、空気の流れが乱れることなく安定して翼に伝わっています。このため、機体のバランスを崩すことなく、長距離を安定して跳べるのだとか。

うーん、なるほど。

たしかに、実際に飛ばした後をシミュレーションした結果を見ると一目瞭然。早くから高度を下げていく普通の紙飛行機に対して、ギネス紙飛行機は最初の機首の角度を保ったまま上昇し続けています。

あの出っ張り、そんなにダメだったのか。むしろ「細くて鋭い機首が空気を切り裂くからよく飛びそう」とか思ってましたよ。

ということで、熱流体解析の専門家によるシミュレーションの結果、ギネス紙飛行機が本当にすごかったことがわかりました。

大人になると紙飛行機を折る機会も減りますが、たとえば親御さんであれば、お子さんと一緒に折ったり飛ばしたりして遊ぶこともあるのではないかと思います。

そんなときはぜひギネス方式で折って大人の実力を見せつけた上で、今回明らかになった「どうしてよく飛ぶのか」という理由も教えてあげてください。

たかが紙飛行機、されど紙飛行機。奥の深い世界でした。

(山田井ユウキ)