川又や永井にも惜しいプレーはあったが、藤田氏は合格点を挙げられるニューフェイスは0人と厳しい評価を下した。写真:徳原隆元

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 新しい選手にチャンスを与えたい――。
 
 ハリルホジッチ監督が発信したメッセージに、どれだけの選手が応えられたのか? 初采配という大事な試合で、指揮官は代表デビューとなったG大阪の藤春、名古屋の川又をスタメンに選び、前線には武藤、Aマッチに1試合しか出場していない永井といったフレッシュな選手たちをピッチに送り出した。

【日本代表|PHOTOギャラリー】日本 2-0 チュニジア
 
 指揮官という立場は表現者ではなく、その名のとおり、あくまで自分の意図を伝えることしかできない。
「こんなサッカーがしたい」
「こんなメンバーの組み合わせを試したい」
とね。
 
 そうした指揮官の要求に対してしっかり応えることが選手としての仕事。分かりやすく言えば、結果を出すことが求められる。
 
 チュニジアはFIFAランキングでは日本より上かもしれないけれど、ピッチ上のパフォーマンスを見るかぎり、それほど強いチームには見えなかった。ザッケローニ監督初采配の相手はアルゼンチンだったし、アギーレ監督のデビュー戦はウルグアイが相手だった。それらのチームに比べれば、テスト自体は難解なものではなかったはずだよね。
 
 では果たして、今回のチュニジア戦でインパクトを残せた選手は、いったいどれくらいいたのだろう。3年後、ワールドカップでベスト16以上を目指すチームだからこそ、あえて厳しい基準で評価させてもらうと、僕が観るかぎり、ハリルジャパンの入団テストに合格したニューフェイスは「0人」だ。
 
 川又がヘディングでバー直撃の惜しいシュートを放ったり、永井が思い切りの良い突破を見せたりしていたけど、結局シンプルな「回答」、つまり結果を示せなかった。彼らと同じく、代表デビューを飾った宇佐美に関しても、香川からのスルーパスに反応して素晴らしい動き出しからシュートを放ったもののポストに嫌われ、「結果を出す」ことができなかった。
 個人的にチュニジア戦のMVPを挙げるとしたら岡崎だ。チュニジアの足が止まっていたから評価が分かれるところだろうけど、本田とともにチャンスをモノにしてしっかり「結果を出した」という点では評価すべきだろう。周囲を納得させるのに、やっぱり結果(ゴール)に勝るものはないからね。なによりピッチの内外に与えるインパクトは一番大きい。
 
 岡崎は、この試合で国際Aマッチ出場90試合目を迎え、FWとしてはカズ(三浦知良)さんを超えて最多出場記録を更新したという。この数字がFWとしての能力の高さを証明している。FWは特にシビアなポジションで、結果を出し続けなければ生き残っていけない。結果を出すことがいかに大切か。岡崎から学ぶべき点は多いと思うよね。
 
 代表の歴史を振り返っても、のちにそのチームの“軸”となる選手というのは、デビュー戦でゴールを決めるなど、早い段階から結果を残している。名波浩は代表通算9ゴールにもかかわらずデビュー戦ゴールを決めているし、ヒデ(中田英寿)はゴールこそなかったものの、ラモス瑠偉さんの後釜としていきなり中心選手のように振る舞い、攻撃をリードしていた。
 
 中村俊輔だって代表2戦目でしっかり結果を出しているし、最近でも武藤や柴崎もゴールを決めて定着しつつある。“軸”になる選手というのは早々と結果を残す、というのが僕の持論。不思議なことに、最初のインパクトが大きければ大きいほど、その後の存在価値も大きくなっている。
 
 あくまで主観だけど、そんな歴史的系譜に続くと思われるのが宇佐美だね。岡崎、本田、香川、清武、乾、武藤……。現時点では、こういった面々が日本代表の攻撃陣で“第1グループ”を形成していると思うけど、宇佐美はそのなかに入っていてもおかしくない雰囲気を持っている。
 
 ポテンシャルという点では岡崎よりも上だろう。才能のある選手が代表チームに生き残ることは自然だと思うし、日本代表の“未来”を考えてもチームを引っ張ってもらわないといけない存在。宇佐美自身がそう願うならなおのこと、2戦目のウズベキスタン戦では、ぜひ結果を残して自らの存在意義を証明してもらいたい。