ハリル監督、GK陣に“ノイアー化”指令

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 初陣のチュニジア戦を終え、大筋の方向性が明らかになったハリルジャパン。攻撃のコンセプトとして「縦に速い攻撃」「ワンタッチパスによる崩し」などが見えたのと同時に、守備面で判明したのが「前に出て奪う守備」「奪ったあと、一本のパスで何人もの選手を置き去りにする縦パスを出すこと」を要求していることだ。

 前に積極的な守備をするなら、それに伴って背後のスペースをどうケアするかというテーマが出てくる。バヒド・ハリルホジッチ監督が考えているのは「GKにリベロ的な役割を求めている」ということだった。

 大分合宿が始まって間もないころのミーティングで、指揮官が選手たちを前に例として挙げたのが、ブラジルW杯のドイツ代表だった。アルジェリア代表監督として決勝トーナメント1回戦で対戦し、延長戦までドイツを苦しめた一戦(結果は1-2で敗戦)は、ハリルホジッチ監督のエピソードとして有名なものの一つ。指揮官がこの試合で勝敗を分けた要因の一つとして挙げたのが、ドイツの守護神、GKマヌエル・ノイヤー(バイエルン)の存在だった。

「監督は、GKにリベロ的な役割を求めている。GKに対して11人目のフィールドプレイヤーとして背後のケアをするようにというのを言っている」。DF槙野智章(浦和)が言う。GK西川周作(浦和)は「GKが背後のスペースをケアするということは、GK4人に対して監督から直接言われていることでもあり、監督が全体ミーティングでも言っていること。全体ミーティングでは『ドイツが優勝できたのもノイアーが守備範囲を広く守れたから』と、実際にドイツと戦った感想として言っていた」と説明した。

 ノイアーといえば、西川を始め、多くの選手が目標に挙げる世界ナンバーワンGK。強豪に対し、後ろに下がる守り方から前に出る守備へ。チュニジア戦では守備機会が少なかったため、先発フル出場したGK権田修一(F東京)がスペースに出て行く場面はなかったが、攻められる場面の多い試合ではGKの守備範囲がカギを握ることになりそうだ。ハリルホジッチ監督は、GKを含めたトータルでサムライブルー改革を行おうとしている。

(取材・文 矢内由美子)