ウブな少年とドS男の、セクハラまがいなのにほんわかする恋愛模様【おすすめBL】
 どうもこんにちは。ゲイライターの渋谷アシルです。

 生粋のBLフリークであるぼくが、イチオシの作品を紹介する本企画。今回は、「幸せな気持ちになれるBL」をお届けします。

◆「ファンタジー」と言われても、甘々な展開はやめられない

 BLというものは2種類に大別できます。同性同士の恋愛における苦悩を描いた切なく悲しいものと、最初から最後までハッピーなもの。そして、後者はときに、「ただのファンタジーじゃん」と馬鹿にされてしまうこともあります。

 でも、読み手を幸せな気持ちにさせる作品は、一種のオアシス。忙しい日々に追われ、荒んでしまった心を癒してくれる作品だと思うんです。今回紹介する『満開ダーリン』(山本小鉄子)は、まさにそんな一冊。

 物語の舞台となるのは、街の小さな花屋「フラワーホール」。そこでアルバイトとして働く大志と、店長である春彦の甘々な恋愛模様が描かれます。ストーリーラインは、THEラブコメといった王道スタイル。大きな事件や困難が二人を襲うこともなく、終始ほんわかした幸せな日常が続いていきます。

 とはいえ、大志の心境的には事件の連続。脱サラをして花屋をオープンした春彦の知られざる過去や、大志に想いを寄せる高校生・春樹の登場……。恋愛経験の浅い大志は、それらの出来事に心が揺さぶられていきます。

 そして、対照的なのが春彦。それなりの経験を積んできたであろう彼は、大志が悩んだり困ったりしている様子を、ときにSっ気全開で、ときに甘々モードで見守ったり突き放したり。それはある意味、大志が成長していくさまを見守る親心のようなもの。そう、この作品は、大志の成長ストーリーでもあると言えるでしょう。

 現実の恋愛においても、小さな壁を乗り越えていくたびに幸せな風景が少しずつ見えてくるもの。価値観の相違やちょっとしたすれ違いで、ぶつかってしまうこともある。でも、それがあるからこそ、相手の大切さが身にしみてわかったりもして……。

 本作を読んでいると、まさに自分がそういった恋愛の最中にいるような気持ちになるんです。

◆Sっ気全開の“俺様”の“セクハラ”にドキッ

 そして、なんといっても最大の魅力となるのは、やはり春彦のキャラクターでしょう。ウブな大志に対して繰り広げられるセクハラまがいの数々。Sっ気が強く、少々強引な性格。まさに、完璧な「俺様」属性の持ち主です。草食系男子があふれている昨今、こんな俺様男子は希少生物かも。

 物語的には大きな山場もなく終わりを迎えますが、「きっとこの二人はずっと幸せに暮らしていくんだろうな」という読後感。終始キュンキュンしっぱなしのはず。

 ちなみに、この二人のその後を描いた『満開ダーリン2 タカシ・ビー・アンビシャス』(山本小鉄子)も刊行済み。

 こちらには春彦の元カノが登場するなど、もう一歩踏み込んだ内容が描かれています。といっても、読後感はやはりハッピー。安心して物語世界に入り込めるでしょう。

 ただし、ひとつ注意するとすれば、これらの作品はセックスの描写が多めだということ。そもそもラブラブな二人の生活を描いているので、それも仕方ないのですが、苦手な人はお気をつけて。

 これまでBL食わず嫌いを貫いてきたみなさま、試しに読んでみてくださいね。

<TEXT/渋谷アシル>

【渋谷アシル プロフィール】
昼間は会社員の仮面をかぶった、謎のゲイライター。これまでお付き合いしてきたオトコをネタに原稿を執筆する、陰険な性格がチャームポイント。オトコに振り回される世の女性のために、ひとり勝手にPCに向かう毎日。