緊急招集された男は、虎視眈々と出場機会を伺っている。U-22日本代表DF室屋成(明治大)は、同代表の常連の一人だが、AFC U-23選手権予選(リオ五輪アジア一次予選)を戦うメンバーから外れた。その間、全日本大学選抜チームの一員としてスペイン・バルセロナ遠征に、そして帰国後は所属する明治大の静岡合宿に参加していたが、DF亀川諒史(福岡)の離脱により、U-22代表に追加招集されることとなった。

 3月3日に発表されたU-22日本代表メンバーに自分の名前が入っていなかった室屋は「悔しい気持ちがあった」と話したものの、「すぐに全日本のスペイン遠征があったし、そこで必ず成長できると思っていたから、すぐに気持ちを切り替えられました」と自らが置かれた場所で成長しようと遠征に臨んでいた。

 そして、スペインから帰国後は明治大の静岡合宿に参加していたものの、U-22代表に急きょ招集される。「(招集を聞いたのは)スペインから帰ってきて2日後だったと思います。その後、遠征終わりの明治大のバスで東京まで帰ってきて、そのまま羽田空港に向かった感じです。家にはホンマ一瞬、パスポートだけ取りに帰りました」と笑いながら答えている。

 U-22代表に招集されたことを「光栄なこと」と感じる一方で、「追加招集だけどチャンスだと思うし、ある意味、運もいいと思っています。選ばれなかった悔しさを、ここでぶつけたい」と闘志を燃やしている。

 チームが予選11日前から暑熱対策を行ってくるなど、マレーシアの暑さは大きな敵となりそうだが、室屋は意に介さない。「僕はチームの中では体力がある方だと思っています。今日の練習でも結構動けたし、暑さに対して嫌な印象はありません。運動量多く、走れればチームに貢献できるはずです」。遅れてきた男は自身の存在価値を証明するために、蒸し暑いピッチ上で90分間走り抜く覚悟を決めた。

(取材・文 折戸岳彦)