本田や香川の特長を考えると、こうした崩しも有効ではあったが、一方で人数をかけて攻撃するため、ボールを奪われた際に、著しくバランスを崩して、カウンターであっけなく失点する場面が目に付いた。
 
 指揮官がそういった過去の反省点までもを踏まえているのかは分からない。
 
 ただ、そういった日本代表の失点を食らうパターンへの対策としては、サイドチェンジからの縦パスを活かした崩しは、非常に合理的な判断と言える。

 手数や人数をかけずに攻め切ることは可能で、必然的に守備のバランスは保たれ、不要な失点が減る可能性はある。
 
 問題はこれらの攻撃パターンが、日本代表にフィットするかどうかだ。
 
 本田や香川は縦への推進力よりも、周囲との連動性のなかでこそ生きるタイプである。ともに途中出場したチュニジア戦で出色のパフォーマンスを見せたが、相手の運動量が落ちて自由にプレーできた側面もあり、決してハリルホジッチ監督の戦術的意図を存分に表現できたというわけではない。
 
 指揮官も明言するとおり、次のウズベキスタン戦でも多くの“新顔”が起用されるだろう。
 
 選手を見極める現段階で、テストが最優先されるのも理解できる。一方で、ウズベキスタン戦は6月に始まるワールドカップ・アジア予選前の最後の公式戦でもある。
 
 欲を言えば、本田や香川ら従来の主力組をスタートから起用した“MAX値”も確認しておきたいところだ。