25年間、トップを走り続けるLUNA SEA

 結成25周年を迎えたLUNA SEAが先般、大阪で行われた全国ツアー最終公演で、ロックフェスを主宰する事を発表し、話題を集めた。LUNA SEAは、GLAYや黒夢、L’Arc〜en〜Ciel等、カリスマ性を持ったロックバンドが生まれた1990年代からの激戦・激動のロックシーンを走り抜き、今なお存在感を放ち続けている。その彼らが主宰するロックフェスはどのような意味を持ち、どのような内容で展開されるのか。ここではまず、25年間トップで走り続けてきた彼らの魅力に迫ってみたい。

LUNA SEAの軌跡

 彼らの存在の偉大さを示すべくまず軌跡を追ってみる。1989年に結成したLUNA SEAは当初、「LUNACY」と名乗っていた。同名の1stデモテープ「LUNACY」を発表。1991年発売のインディーズ1stアルバム『LUNA SEA』は初回予約分が完売。同年の初ワンマン全国ライブハウスツアーを経て、1992年メジャーデビュー1stアルバム『IMAGE』をリリースした。同月、ライブツアーより、数千人、1万人超という動員数を記録。1stビデオ「IMAGE or REAL」はチャート初登場1位の快挙を収めた。

 1994年発表のシングル「ROSIER」「TRUE BLUE」、3rdアルバム「MOTHER」は、LUNA SEAの音楽性、独創性が最も色濃く表れ、V系ロック界のマスターピースと言っても過言では無いだろう。12月公演の日本武道館2Daysライブでは4万人を動員した。

 翌年のツアーでは5万人、6万人。止まるという発想のない進撃だった。1996年にシングル「END OF SORROW」「IN SILENCE」、4thアルバム「STYLE」をリリース。7月スタートのツアー総動員数は未曾有の12万人を記録した。また、1998年以降もリリースを重ね精力的に活動するも、2000年12月の東京ドーム公演をもって一旦「LUNA SEA 終幕」を宣言。以降、00年代後半まで際立った活動はなかった。

 しかし、2007年以降にLUNA SEAは再び動き出す。東京ドームでの一夜限定ライブ、リマスタリング盤のリリース、iTunes世界同時配信、ドイツ、アメリカ、香港などでの海外公演。2011年東日本大震災復興支援チャリティーライブ、2013年にはアルバム「A WILL」をリリース。そして昨年より「LUNA SEA 25th ANNIVERSARY LIVE TOUR THE LUNATIC -A Liberated Will-」が展開されている。

LUNA SEAの持つ独創性と個性

 LUNA SEAの楽曲を聴くと、「曲がナントカっぽい」や「あのへんの音楽に似ている」という対象がハッキリと出てこない。ビジュアル系とか、ロックバンドとか、そういった一般カテゴリーこそ適合対象はあるものの、明確な「あのアーティストっぽい」というのがなかなか思いつかないのである。それは、メジャーシーンにおいて非常に珍しいことだ。「っぽい」という表現は、何かしらに共通していたり、なんかに似てる? という解釈だ。裏を返せば、LUNA SEAは「っぽい」という特定表現の難しい、替えのきかない個性をもった存在と言える。

 では、一体なにが「LUNA SEAの個性」なのだろうか。LUNA SEAの持つ独創性、オリジナリティの正体とは何なのであろうか。

 それはボーカル河村隆一(RYUICHI)の艶色抜群の歌声だろうか? ドラムス真矢の巧みなプレイだろうか? あるいはベーシストJのベースをヒザ下に構えての逞しくもクールな演奏スタイルだろうか? それともビジュアル系が漂うサウンドや絵的な点だろうか?

 挙げれば次々と出てくる「LUNA SEAの特徴」。「なぜそういった歌い方を?」「ギター、そんなに音伸ばして大丈夫なんですか!?」「ドラムセット、要塞か!」など、最良の意味で、ツッコミどころは満載(どれもクールである)であり、そのすべてがLUNA SEAのオリジナリティに直結している。そして、その特徴ひとつひとつに「個性」が備わっている。そのオリジナリティに直結する特有の「THE LUNA SEA」がそこにはある。そしてその詳細には興味深い要素がいくつもみられた。

キレキレの「キメ」

 曲のメリハリを効かせる目的などとして「キメ」というものがある。例えば、バンドのライブなどで、そこは全員一斉に「ビシっ」と一体感のアクションがとれる部分だ。曲に振り付けがあったとしたら、「キメ」は、最もアクティブに表現される場面だ。この「キメ」の表現がLUNA SEAはとても特徴的で、尋常ではない程の鋭さがある。

 楽曲「TRUE BLUE」のイントロや曲間にみられるキメは、特に際立っている。強烈なリズムとアンサンブルのユニゾン、「これぞLUNA SEA!」という個性が瞬く様に高速点滅しているフレーズだ。この楽曲のみならず、「WISH」や「ROSIER」など、LUNA SEAの「キメ」の圧倒的な切れ味は様々な楽曲で感じる事ができる。

 音やフレーズ自体が巧妙というより、むしろ2コか3コくらいのシンプルな音数とリズムで、「ビシ!バシっ」とキメを展開する。点で捉える様にキメる、そのバンド力が織り成す感覚的なかっこ良さは「LUNA SEAならでは」であろう。

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