途中出場ながら短時間で2ゴールに絡んでみせる。背番号4のエースが、ハリルホジッチ新体制の初陣で別格の存在感を放った。 写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

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 存在感は別格だった。
 
 72分からの途中出場で1得点・1アシスト――。78分に滞空時間の長いクロスで岡崎の先制点をアシストすると、その5分後にはゴール前のこぼれ球に詰めてチームの2点目を決めた。

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 交代でピッチを退いた川又が「凄いとしか言いようがない」と漏らせば、永井や宇佐美も同じく「凄い」と唸った充実のパフォーマンスだ。
 
 ただ、本田が見せたのは、こうした結果だけではない。"背番号4"がピッチに立った72分以降の日本の攻撃は、明らかにそれ以前とは質が違った。
 
 顕著だったのは、最終ラインやボランチからの縦パスの本数だ。
 
 本田がDFのギャップにタイミング良く入り込み、後列からボールを引き出す。そして、DFを背負いながらフリーの味方に確実につなぎ、あるいは軽やかなターンで前を向いてゴール前に迫った。前線に確固たる起点ができた日本は、こうして次第に圧力を強め、先の2点につなげたのである。
 
「(途中出場で)流れを変える役割を求められて、ふたり(本田と香川)が入ってからすぐに変えられたと思っているし、ゴールという形につながって本当に良かった」
 
 監督が代わり、戦術やシステムも変わった。しかも、途中出場という難しいリクエストにも満点回答を出した本田は、こう自己分析するのだ。
 
「なにかが変わることに対応する力は、自分の強さのひとつ。逆にそういうところを取ったら、対してスピードもないし、個人技もないってなるから」
 
 この対応力こそ、本田が長く日本代表の中心として活躍できる所以なのだろう。
 
「本当の(ハリルホジッチ監督の)スタイルは、ここからなんじゃないかと思う」
 
 手探りながらも、新体制発足から1試合目で勝利につながる決定的な仕事をこなす。10年の南アフリカ・ワールドカップから君臨する不動のエースは、世代交代を推し進める新体制でも主軸から外れることはなさそうだ。
 
取材・文:五十嵐創(サッカーダイジェスト編集部)