[3.27 AFC U-23選手権予選(リオ五輪アジア一次予選)第1戦 U-22日本 7-0 U-22マカオ]

 針の穴を通すような鋭いスルーパスだった――。4点をリードして迎えた後半21分、センターサークル付近でボールを受けたMF矢島慎也(岡山)は、前線へと走り出したFW鈴木武蔵(新潟)を見逃さず、極上のパスを届ける。これを受けた鈴木がきっちりとネットを揺らし、チーム5点目が生まれた。

 ベンチスタートとなった矢島は後半15分にピッチへと送り込まれる。ポジションはボランチ。前日練習でもこなしていたポジションだったが、本人も「公式戦ではないですね」と語るように、不慣れなポジションであることは間違いない。しかし、コンビを組むMF原川力(京都)とバランスを取りながら、ボールに絡んでリズムを生み出すと、前線まで飛び出して攻撃に厚みを加えた。

 不慣れなポジションかも知れないが、矢島はそこに楽しさを感じていた。「ボランチにはボランチの楽しさがあるし、もちろん厳しさもあります。ただ、ボールに触る回数が多くなるし、ピッチ全体を見渡しながら、チームのバランスを見ながら試合を動かせる感じがするので、結構楽しみながらプレーしています」。

 そして後半21分の得点場面。「ゴロで速く出すパスは狙っていました。あれがちょっと中や外にずれてしまうと相手にも引っかかってしまうので、良いパスを通せたかなと思います」と語ったように、狙いを定めたスルーパスは一直線に鈴木へと届き、背番号9のゴールを見事にお膳立てした。

 ボランチでの出場の可能性は今後もあるが、本人は気にしていない。「ボランチで出たらボランチの役割を、サイドで出たらサイドの役割をしっかりこなしたい」と新たな可能性を探っていきたいと話しながらも、「ただ、ボランチでも点を取りたい」と、どのポジションで出場しようともゴールを狙っていくと力強く語った。

(取材・文 折戸岳彦)