2ゴールの起点となり、終了間際にはアウトサイドで宇佐美へ絶妙なスルーパスを送った。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

写真拡大

 60分、タッチライン際に10番と4番が並び立つ。その瞬間、ビッグアイは眩いばかりのフラッシュに包まれた――。

【日本代表|PHOTOギャラリー】日本 2-0 チュニジア

 後半は押し気味に試合を進めるも、1点が遠い展開。その停滞感を本田、岡崎といった“盟友”とともに打ち破った香川は、トップ下で十分に“らしさ”を発揮した。
 
「どんどんパスを受けろ」というハリルホジッチ監督の指示どおり、ボールに触れながらリズムを作っていく。相手に疲れが目立ち、「前半より中盤にスペースがあった」(長谷部)のは加味すべきだが、それでも「良い距離感」(香川)でパスを交換し、相手の脅威になっていった。
 
 先制点の場面ではピッチ中央でボールを受け、左に流れた本田へ斜めのパス。2点目は香川のシュートがGKに阻まれ、そこに本田が詰めた形だった。本人は「フィニッシュの精度を上げていきたい。もっと得点が取れるチャンスはあった」と反省するが、途中出場で2ゴールに絡んだのは今後に向けて好材料となる。
 
 ゴールシーン以外でも、見せ場は作っている。87分に放った強烈なミドルには、指揮官も拍手を送っていた。89分の宇佐美へのスルーパスは、まさに決定的だった。動きながら正確にボールをコントロールしたこのふたつのプレーこそ、トップ下・香川の真骨頂とも言えるだろう。
 
 ただし、背番号10はまるで満足していない。
 
「勝ち切ったことがなにより大事」、「勝たないと評価されない」、「成長するには勝っていかなきゃいけない」
 
 ミックスゾーンで何度もそう繰り返す香川は、間違いなく人一倍の危機感を抱いている。ワールドカップに続き、アジアカップでも早期敗退。その責任を感じているからこそ、「勝利」の意味をより重く受けとめているのだ。
 
 求められるのは、チームとしての勝利だけではない。この日ベンチスタートだったように、選手間の競争にも“勝つ”必要がある。勝利にこだわる香川がさらにひと皮むければ、日本代表はもう一段上に進めるはずだ。
 
取材・文:増山直樹(サッカーダイジェスト編集部)