歴史に名を残す名投資家のエッセンスを日本株投資に活かす方法がびっしり入った『伝説の名投資家12人に学ぶ儲けの鉄則』(ダイヤモンド社)

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投資家であり『伝説の名投資家12人に学ぶ儲けの鉄則――日本株で勝つためにすべきこと、してはいけないこと』の著書・小泉秀希さんに、ご自身の投資遍歴と本に登場する名投資家の生きざまや投資法についてうかがっています。第5回の今回は小泉さんが「株好きオヤジ」と語るウィリアム・オニールについて語ってもらいます。

*第1回 「名投資家のコラムを書いてから僕の投資成績は劇的に改善しました」『儲けの鉄則』著者に聞く、株で儲けるために最も重要な原則とは? はこちら

*第2回「株の価値には、資産面(PBR)と収益面(PER)から見た2つの側面がある」PBRとPERを日本株投資に活かす方法とは? はこちら

*第3回「5人の伴侶を選ぶつもり」で銘柄を選べ!? 投資の神様ウォーレン・バフェットの師匠、フィリップ・フィッシャーの投資哲学とは? はこちら

*第4回 50年で資産7000倍!「投資の神様」バフェット視点で選んだ、コカ・コーラに匹敵する日本株とは? はこちら

ザイ・オンライン編集部(以下、編集部) 今回、御著書の中で12人の名投資家の人生と投資哲学について書かれたわけですが、小泉さんが個人的に最も好きな投資家、影響を受けた投資家は誰ですか?

小泉秀希(以下、小泉) それ、難しい質問ですね。誰だろう、うーん。皆がそれぞれに、自分に教訓をくれているんです。特に、グレアム、フィッシャー、バフェットという流れは名投資家を語る上では欠かせないラインですし、リンチには身近な小型株でも10倍株をつかめるんだという夢をもらいましたし。逆に、記者さんが「この投資家が心に残った」という人はいましたか?

編集部 ウィリアム・オニールでした。「業績の勢いとチャートを重視して、短期大化け株を狙う」というやり方。他の名投資家と比べると、相場全体の動向と株価についての言及があり、チャートの見方についても詳しく書かれていました。

小泉 オニールの本もだいぶ読みました。彼がいちばん個人投資家に近いというか「株好きオヤジ」という印象ですね。成長株とか言ってるけど、結局は、モメンタム投資でしょみたいな。数週間から数カ月間の手法としては、すごく優れていると思います。

ウィリアム・オニール(1933−)

 証券会社に入社後、独自の投資ノウハウを研究。30歳の時に株式投資で得た利益でニューヨーク証券取引所の会員権を取得、さらに機関投資家向けのリサーチ専門会社を設立、『ウォール・ストリート・ジャーナル』に対抗し『インベスターズ・ビジネス・デイリー』を創刊した。

オニールは1880年代にまで100年以上さかのぼって、1000銘柄以上を詳細に分析。「歴史は繰り返される」「同じパターンが何度も繰り返される」として、大化け株に共通する特徴を探り出した。

投資判断をする際に周囲に流されたり、習慣や常識に捕らわれたり、簡単に儲けようと欲張ったり、必要以上に恐れるといった人間の本質は1634年の「チューリップバブル」から2007〜2008年の「住宅バブル→リーマンショック」までほとんど変わっていないと言う。

【成長株 買いの条件】
(1)機関投資家が買い始めている
(2)5年以上連続増益で、当期四半期EPS(1株当たり純利益)は最低でも20%上昇
(3)十分なもみあい期間のあとに新高値をつけた銘柄、あるいは新高値をつけそうな銘柄で、もみ合い突破時の出来高は平均的な出来高よりも最低でも50%増加している

【成長株 売りの条件】
(1)マイナス8%で損切りする
(2)通常は利益20〜25%で一度利食いをする
(3)1〜3週間で20%も上昇する株は買った時点から最低8週間は持ち続ける

以上のような戦略を明確化したオニールは、1963年に5000ドルの元手を20万ドルにするなど快進撃を見せる。その後、この売買戦略をさらに洗練させ「CAN-SLIM法」として完成させた。

編集部 他の名投資家は、自分の信念に基づいて銘柄を選び、選んだ銘柄はどこまでも増えていくという感じでした。それに対してオニールは相場に委ねるというか「機関投資家の売買動向」が投資判断の条件に入っていたり、チャートについてもどういうのが底打ちのパターンで何日目に買うと良いなど、かまり細かに書いてありました。「取っ手付きカップパターン」とか、かなり詳細でユニークですよね。

小泉 オニールの著書は何度か改定版が出ていて、そのたびに精密になってるんです。最初に読んだときに「なんじゃこりゃ」と思っていたところ、次の版を読むと「こうだったのか」とわかったり。取っ手のカタチとか角度とか(笑)。オニールは一つの事象を徹底的に法則化しようという信念が見えるから面白いです。「こういう人は儲かってるんだろうなぁ」と思いますもんね。

編集部 この本では、名投資家達が「成長性と割安さ」についてどのような基準を持っていたかというのが一つのテーマになっていると思うのですが、オニールは割安さについてはどう考えていたんでしょうか?

小泉 オニールは、PERはあまり重視していないようですが、だいたい20〜50倍くらいで購入することが多いようです。オニールが重視したのはあくまでも業績の強さ、株価の値動きの強さ、時価総額の小ささであり、それらの条件が満たされればPER100倍くらいで買うこともあります。

編集部 PER100倍!

小泉 PER100倍は平均的なPER(15倍)の7倍です。ということは、利益が7倍増したくらいではサプライズにならない。利益が10倍くらいになって初めて報われる可能性が出てくるくらいの水準です。同じように、PER30倍の株を買うなら利益が4倍、PER50倍の株を買うなら利益が6倍になるくらいの見通しで買いたいですよね。

編集部 日本の新興市場にもPERが100倍を超える銘柄があります。これからそうした銘柄を見るときには「この企業は利益10倍増が見込めるくらいの成長性があるのか」という視点を持ちたいと思います。

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