『クラシック音楽のトリセツ (SB新書)』飯尾 洋一 SBクリエイティブ

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 みなさんはクラシック音楽にどのような印象を持たれているでしょうか。

 クラシック音楽を理解するには楽曲に関する特別な知識が必要なのではないか、あるいはコンサートに行くにしても、敷居が高そう、ドレスコードや特別なマナーがあるのではないかと何かと不安で、実際にコンサート会場へ足を運ぶのを躊躇してしまっている方も意外と多いかもしれません。

 音楽ジャーナリストである飯尾洋一さんは、自らの経験を踏まえ、ファン目線からの実践的な、クラシック音楽を聴くための取扱説明書があったら役立つのではないか、との思いから本書『クラシック音楽のトリセツ』を執筆したといいます。

 そのため本書では、冒頭で挙げたような様々な不安を解決するべく、コンサートにまつわる素朴な疑問や、聴いておきたい定番の名曲紹介など、クラシック音楽の世界へ踏み出す手助けをしてくれます。

 たとえば、「なぜコンサートに行くのか」という素朴な疑問。この疑問に対し、飯尾さんは、生の音楽には録音では代替できない特別な価値があるといいます。そのひとつが音そのものの魅力。

「クラシックのコンサートでは原則としてPA(マイクやスピーカーを用いた電気的な音響増幅装置)を使いません。楽器奏者が奏でた音そのものを聴きます。(中略)歌手の声もダイレクトに客席に届きます」

 コンサートホールで耳にする音は、どんなオーディオ装置をもってしても再現することは難しいといいます。

 同時に、マイクを使わずに遠くの客席にまで声が届くようにホールが設計されているということは、客席の些細な物音もまたホール中に響き渡ってしまうということ。咳やくしゃみは仕方がないですが、携帯電話はもちろん、気をつけたいのは飴玉の包み紙を剥ぐ音だと飯尾さんはいいます。
普段は気にならない僅かな音でも、演奏中は細心の注意を払う必要があるようです。

 一方で服装・ドレスコードは、一部の例外を除いて特にはないといいます。飯尾さん自身、コンサート会場の服装は年々ゆるやかにカジュアル化しつつある傾向を感じているそうです。

 クラシックのコンサートは全国で1年に1万件以上、首都圏だと毎日多い日では数十件開催されているとのこと。あまり気負い過ぎず、近場にあるホールの公演スケジュールをチェックしてみるところから始めてみるのもいいかもしれません。