判断材料は少ないが、ハリルホジッチ監督がこれまで明かした考えを総合すると、チュニジア戦のスタメンはこのような顔ぶれか。

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 ハリルホジッチ監督は、3月19日のメンバー発表の席でベテランの遠藤(35歳)を外した理由について、こう述べた。
 
「ロシア・ワールドカップに向けた準備をするために日本へ来た」
 
 つまり、現段階からすでに3年後を見据えた強化プランを練っているわけだが、そうなると、“勝負の2018年”に35歳になる今野、34歳になる長谷部、32歳になる岡崎や本田、長友(今回は辞退)らザッケローニ時代から重用されてきた選手が、近いうちに代表から漏れたとしても不思議はない。
 
 実際、チュニジア戦の前日会見でも指揮官は「明日はおそらく新しいプレーヤーを試すと思う。これまでプレーしてこなかった選手にもチャンスを与える。この2試合で、できる限りたくさんの選手を見たい」と刷新を匂わせていた。
 
 長身でフィジカルが強い面子を揃えてくるだろうチュニジアには、「できるだけグラウンダーのパスを使い、スピーディな展開から敵の背後を狙いたい」そうだ。監督のその言葉を鵜呑みにすれば、前線にはスペースを突くのが上手い岡崎、武藤、永井あたりがスタメン出場しそうだ。
 
 ハリルホジッチ監督がこれまでクラブや代表チームで採用してきたシステム(4-2-3-1、5-4-1、4-4-1-1、4-3-3)から浮かび上がってくる前線の形は「1トップ+2ウイング」。機動力抜群の岡崎を頂点に、韋駄天の永井、縦への突破力に優れた武藤が脇を固める布陣は、敵の背後を狙ううえで有効策だ。
 
 とはいえ、中盤や最終ラインも含めて正直、今回ばかりはスタメンを予想しにくい。試合前日には、フィールドプレーヤーを12人ずつに分けてのゲーム方式の練習(システムは両チームとも4-3-4-1)を行なったが、主力とサブ組の明確な線引きはない印象だった。
 
 ちなみにその時のメンバーは、ビブス組が前線から岡崎、永井、香川、大迫、宇佐美、今野、水本、山口、酒井宏、昌子、槙野、酒井高。ビブスなし組は前線から川又、本田、武藤、柴崎、清武、長谷部、青山、藤春、青山、内田、吉田、森重、太田だった(乾は腹痛のためホテルに居残り)。
 なにより見えてこないのが、本田の起用法である。裏への抜け出しやスピーディな展開をアタッカーに求めるハリルホジッチ監督が、永井や武藤より俊敏性で劣る本田をサイドに置くだろうか。
 
 もっとも、前述したゲーム方式の練習で本田は右ウイングでプレーしており、そこで出場する可能性は十分にある。しかし、どうしても指揮官の言葉──「新しい選手を使う」「裏への飛び出し」が引っ掛かるのだ。
 
 仮に永井と本田を同時に先発させるなら、図のような4-3-3がひとつの形になるだろう。本田の類まれなキープ力、秀逸なパスセンスを活かす意味でも、香川とのダブルトップ下は試す価値がある。
 
 ただ、本田は不動だろうと思う一方で、ベンチスタートの可能性も捨てきれない。スタメン落ちしそうな理由のひとつは、ハリルホジッチ監督が示唆した「速攻」のスタイルに、本田のプレースタイルがあまり適さないところだ。
 
 そしてなにより、指揮官が18年のロシア・ワールドカップに照準を定めている点だ。3年後に“オーバー30”になる本田、岡崎、長谷部あたりがチュニジア戦でいきなりスターティングメンバーから外れれば、それは世代交代の合図とも言える。永井、清武、山口らロンドン世代、宇佐美、武藤、柴崎などプラチナ世代の起用法は、そういう意味でも注目だ。
 
 想定内の変革か、予想を上回る大刷新か──。「できる限りたくさんの選手を見たい」という27日のチュニジア戦、31日のウズベキスタン戦はハリルジャパンの方向性を確かめるうえで、重要な連戦になりそうだ。
 
 GKのポジション争いも、その方向性を見出すためにひとつのポイントになるだろう。現在クラブで出番に恵まれていない川島をそれでも先発させるのか、Jリーグで奮闘する西川、東口、権田のいずれかにチャンスを与えるのか、非常に興味深い。
 
 就任会見からここまでいくつものサプライズを提供してきたハリルホジッチ監督のことだ。チュニジア戦でも、あっと驚くような采配を見せてくれるはずだ。

取材・文:白鳥和洋(サッカーダイジェスト編集部)