30年以上の経験を持つ為替のスペシャリストで、バーニャマーケットフォーカスト代表の水上紀行氏は、今年1月、リーマン・ショックを上回る最大級のパニックがFX(外国為替証拠金取引)トレーダーを襲ったと指摘する。一体何が起きたのか、水上氏が解説する。

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 今年の1月15日に、SNB(スイス中銀)は、2011年9月から実施していたユーロ/スイスフランのフラン上限1.2000にする介入政策を、予告なしに突然撤廃しました。

 あの厳格なSNBの政策だっただけに、スイスフラン高は止められると、多くのマーケット参加者が、スイスフランを売り持ちにしていたところに上限撤廃が唐突に伝えられると、マーケットは大パニックとなりました。

 あくまでも推定ですが、ユーロ/スイスフランで3950ポイント、ドル/スイスフランで3000ポイントの急落(フラン高)、スイス/円で47円の急騰が、なんと30分ぐらいの間に起こりました。私がそれまで30年間のディーラー人生の中で経験した一番のパニックが、リーマン・ショックでした。

 しかし、その時、ポンド/円が約78円、豪ドル/円が約38円、スイスフラン/円が約24円暴落しましたが、あのリーマン・ショックですら、これらの暴落は3か月がかりだったのに対して、スイスショックは、たったの30分間で起きたのですから、どれほどの心臓発作的大パニックだったかということです。

 尚、「あくまでも推定」と申し上げたのは、実際いくらまで行ったのか、本当のところはわからないからです。それほどまでの大パニックは、過去に聞いたことがありません。むしろ、私の経験からすると、年々、パニックの度合いが大きくなっているとさえ感じます。

※マネーポスト2015年春号