廊下でモニターを見る人も続出

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東京大学の卒業式や大学院修了式で、安田講堂の座席に座り切れず、立ち見をしたり、廊下でモニターを見たりする人が続出した。もともと講堂はキャパ不足だったが、外部の会場に変えられない事情があるようだ。

「東大の卒業式、始発から並ばないと安田講堂入れないらしいよ」「めっちゃ並んでる」「会場入れないまま卒業式始まってワロタ」

パブリックビューイングの利用も

東京大学で2015年3月25日に卒業式が行われたが、ツイッターなどでは、参列者とみられるこんな悲鳴が相次いだ。

安田講堂には、1136座席があり、卒業生3160人を一度に収容しきれないため、文系と理系の2部に分けて行っている。これまでは耐震改修工事を行っていたため、3年ぶりに講堂で行う卒業式になった。

同様の騒ぎは、前日に行われた大学院の学位記授与式でもあった。

ツイッターなどを見ると、参列者が講堂内に入り切れなくなり、200人以上、1000人以上の列ができたとの報告が相次いだ。修了生は学部卒業生を上回る4290人おり、2部に分けて行ったものの、キャバをかなりオーバーしてしまったらしい。

このため、講堂の廊下で式を中継するモニターを見たり、そこにも入れない人は、父母や教職員が参列する御殿下記念館でパブリックビューイングを利用したりした。

東大では年々、卒業生らの参列者や付添いの父母らの数が増え続け、報道によると、1993年から、卒業式を一度に行えず2部に分けた。それでも、安田講堂のキャパ不足は深刻で、01年3月に一度、外部の会場を借りて卒業式を行ったことがある。

東京都千代田区の東京国際フォーラムで、当日は、父母約2000人を含め約5000人が参列した。

「伝統にとらわれて弊害起こしてる」

ところが、朝日新聞の01年11月10日付夕刊記事によると、卒業生や父母らから「東大のシンボルでやりたかったのに」「せっかく上京して、東大を見に来たのに、あんな場所でやるなんて」と苦情が相次いだ。

当日は、卒業式終了後に、安田講堂をわざわざ訪れ、そこで記念撮影する親子連れが続出したそうだ。そこで、東大でも、その気持ちを汲んで、翌年から会場を安田講堂に戻していた。

今回も卒業式を巡って騒ぎになったため、ネット上では、「伝統にとらわれて弊害起こしてる」「東大はなぜ安田講堂にこだわるんだろう」と疑問の声が出た。中には、「安田講堂の席の数だけ卒業できるようにすれば,もめないんじゃないかな」などと皮肉もあったほどだ。

父母らの参列が多い入学式は、日本武道館で行っているため、「卒業式も武道館でしてあげたらいいのに」との声も出ていた。

東大の総務課では、卒業式で安田講堂に入れなかった人がいたことを否定したが、卒業生の5分の1ほどは講堂内で立ち見だったことを明らかにした。また、大学院修了式では、入り切れなかった人が多数出て、廊下でモニターを見る人が数百人いたほか、御殿下記念館でパブリックビューイングを利用する人が約130人いたことも認めた。ただ、入場時間前に安田講堂で列ができたものの、数百人も並んでいたことはないとした。

なお、耐震改修工事後は、以前より8座席減っただけだとし、キャパが大きく変わったことはないという。