「大塚家具」の経営権をめぐり、創業家の父である大塚勝久・会長(71)と長女の大塚久美子・社長(47)が繰り広げたプロキシーファイト(委任状争奪戦)が、3月27日に開かれる株主総会でついに決着する。

 父親と長女の争いは他の家族5人の立場も真っ二つに割った。勝久氏側には千代子夫人と長男で専務の勝之氏がつき、長女の久美子氏側には、次女・舞子氏、三女・智子氏、次男で執行役員の雅之氏がついた。

 今回の騒動の中で、父や長女に比べると、長男・勝之氏の印象は薄い。久美子氏より1歳下で、名古屋芸術大学を卒業後、大塚家具に入社。本社ショールーム店長などを経て取締役に昇格するも2008年に退社。2011年に再入社し、現在は専務取締役の地位にある。

 今でも社外の人の前で両親を「お父さん」「お母さん」と呼ぶようなおっとりとした性格だという。同社関係者がいう。

「大学で彫刻を学んだ芸術家タイプで、会社でも店舗づくりなどに才能を発揮したと聞いています。ただ経営哲学などは父親の考えをそのまま信じているといった感じ。両親を素直に尊敬しているのだが、お姉さんとの関係は少し複雑。

 姉に対しては、学歴やキャリアにコンプレックスがあるのか、『姉のほうが経営能力は高い』といった周囲の声を気にしている様子だった。久美子さんと勝之さんの部屋は隣同士で、ガラスで仕切られているが、久美子さんがブラインドをまったく上げないので疎外感を覚えたと苦笑していた」

 父親側に付いた勝之氏を除けば、他の兄弟姉妹は長女陣営に入っている。理由は、「共働きの両親に代わり、次女以下の面倒を見てきたのが久美子さん。姉を“育ての親”だと感じている」(親交のあった知人)からとされる。5人の兄弟姉妹は家族の資産管理会社「ききょう企画」の株を18%ずつ持ち、ききょう企画は3人の弟妹の支持を取り付けた久美子氏の支配下にある。

 ききょう企画の残り株10%を持ち、お家騒動のキーマンといわれるのが母親の千代子氏である。

 長男・勝之氏は過去のインタビューで、2005年に姉・久美子氏が役員を一度辞めた時には父との衝突があり、その時、母が久美子氏に「どちらかが辞めないと仕方ないわね」といったため、独立に繋がったと話している。

 その千代子夫人は「会社は勝之氏に継がせたい」と思っていたようだ。こんな証言がある。

「家督を継ぐのは長男という考えの持ち主で、芯の強い女性です。自分は夫を支える形で会社を大きくしてきたから、女性の久美子さんではなく長男に、という気持ちなのではないか。ただ、今回の騒動が勃発した後、『こうなったのはあなたのせいよ』と珍しく会長を責めたと聞いている」(前出・同社関係者)

 こんな話もある。この関係者によれば、ききょう企画代表を務める次女・舞子氏は茶道と日本舞踊の教室を主宰しているが、その茶道教室に最近も千代子夫人が訪れ、娘と稽古に励んでいるという。また5人の子供が住む住宅や日々の生活面で、「今でも子供たちは両親からの経済的援助を受けている」(同前)という。

 先だって行なわれた会見での感情的な応酬とは裏腹に、プライベートの関係は損なわれていないとする証言だが、だとすれば経営をめぐる対立は双方にとって歩み寄る余地がない重大なレベルということなのか。

※週刊ポスト2015年4月3日号