テクノロジーは自然と共生するか? 「NATURE MADE」展

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2015年1月にパリで開催されたライフスタイル見本市「Maison & Objet」で、大きな話題を呼んだ展示がある。「NATURE MADE」。テクノロジーと自然とが手を取り合うことで生み出される未知なるプロダクトデザイン。キュレーターを務めたフランソワ・ベルナールに訊いた「ものづくり」の未来。

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2/13Amana ARART + Yasuyuki Takagi (c) Yasuyuki Takagi

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3/13Ren Ri, Yuansu Series (c) Ri Studio

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4/13BioPop, Dino Pet (c) Andy Bass

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5/13Lex Pott, True Colours Panel (c) Lex Pott

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6/13Hilden & Diaz, Forms in Nature (c) Thyra Hilden

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7/13Anne ten Donkelaar, Broken Butterflies (c) Vladi Rapaprt

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8/13Philips, Biolight (c) Studio Philips

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9/13Philips, Beehive (c) Studio Philips

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10/13Arturo Erbsman, Atmos (c) Arturo Erbsman

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11/13Eric Klarenbeek, Myceliumchair (c) Studio Eric Klarenbeek

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12/13Wim L. Noorduin/ Harvard University, School of Engineering and Applied Science, Self-Assembled Micro-Structures (c) Wim Noorduion

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13/13Dossofiorito, Phytophilier (c) Omar Nadalini

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Caleb Charland Orange Battery (c) Caleb Charland

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Amana ARART + Yasuyuki Takagi (c) Yasuyuki Takagi

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Ren Ri, Yuansu Series (c) Ri Studio

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BioPop, Dino Pet (c) Andy Bass

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Lex Pott, True Colours Panel (c) Lex Pott

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Hilden & Diaz, Forms in Nature (c) Thyra Hilden

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Anne ten Donkelaar, Broken Butterflies (c) Vladi Rapaprt

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Philips, Biolight (c) Studio Philips

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Philips, Beehive (c) Studio Philips

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Arturo Erbsman, Atmos (c) Arturo Erbsman

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Eric Klarenbeek, Myceliumchair (c) Studio Eric Klarenbeek

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Wim L. Noorduin/ Harvard University, School of Engineering and Applied Science, Self-Assembled Micro-Structures (c) Wim Noorduion

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Dossofiorito, Phytophilier (c) Omar Nadalini

今年1月、20周年を迎えたパリのライフスタイル見本市「Maison & Objet」で異彩を放っていたのが、デザインコンサルタントのフランソワ・ベルナールが手掛けた「NATURE MADE」のコーナーだ。世界各国の14組のクリエイターによる展示は、アートインスタレーションともいえるような、クリエイティヴなアイデアに満ち、デザインプロダクトの今後のあり方を示唆するような刺激的なものだった。その意図を、ベルナールに語ってもらった。


──今回のメゾン&オブジェ展のなかで、あなたの手掛けた「ネイチャー・メイド」というコーナーは、たんに新しいデザインや流行を見せるのではない、自然とテクノロジーのより良い共生を示唆するという点で異色でした。本展の意図を聞かせてください。

クリエイションがインスピレーションを得ていかに発展していくか、その過程を見つめることで、デザインの新たな可能性を示したかったのです。20年前とは異なり、いまは流行や趣味を押し付ける時代ではない。それだけ世界が多様化している。そのなかでわたしたちの役目は、未来に通じるインスピレーションを提示することです。モノづくりにおいて今日大切なのは、驚きや覚醒を求める姿勢だと思います。たんなるメイキングではなく、メイキングのメイキング、インヴェンションの創造です。

また、世界がつねに新しいものを追うなかで、わたしたちの社会にとって何が本当に新しいのか、その価値とは何かをあらためて考えるような場にしたいと思いました。

──自然をモチーフに世界各国からユニークなクリエイターが参加していますが、今回の人選はどのようなテーマに沿って?

3つのグループに分けられます。1つ目は植物を用いた「Dossofiorito」やメタル版を使用したLex Pottなど、自然を覚醒させることをテーマにした「Revealed Nature」。たとえばLex Pottの作品は一見メタルに色を付け加えたように見えますが、そうではなく、さまざまな酸化の方法でメタル本来の色の変色を出現させたものです。

2つ目はオーガニックな無熱光を利用したDino Petに代表される、テクノロジーと自然がコラボレートした「Collaborated Nature」。

3つ目が、自然をモチーフにそれをユニークなアイデアで作品に昇華させた「Wonder Nature」です。たとえば写真家、高木康行が撮った自然の写真に、amanaのアプリ「ARART」を使用したデジタルデヴァイスをかざすと動画になるレトロスコープ・プロジェクトは、素晴らしい例と言えます。

──テクノロジーがこれだけ発展しているなかで、ハンドメイド的な質感にこだわった作品が多いのも特徴ですね。

今日これだけテクノロジーが進んでいるなかで、なぜ人々はハンドメイドのものに惹かれるのか、それはとても興味あるテーマです。わたし自身は偶然の産物、という考え方に惹かれます。クリエイターがそのインスピレーションや、それを具体化するプロセスのなかで偶然に発見したものが、自然によってトランスフォームされるとき、クリエイター自身も予期していなかったユニークなものが生まれる。そこにはマジックと言えるような作用があります。それは「新しさ」に替わって、わたしたちのクリエイションを導いてくれるのではないでしょうか。テクノロジーは、いわばそれをサポートするツールとなるのです。

──テクノロジーは自然に替わるものではない、とも言えますね。社会がテクノロジー一辺倒になっていくことに対する危機感はありますか。

そうですね。たとえばコンピューターが将来、単純に人間にとって替わるわけではない。もしそうじゃないと思うのなら、それは人間のインテリジェンスを否定することです。さらにインテリジェンスのあり方というのはひとつではありません。ではインテリジェンスとは何かと訊かれたら、わたしは「システムをクリエイトし、わたしたちの生活をよりよくするためのアイデア」と答えます。テクノロジーが人間を超越するかどうかといった問題ではなく、両者はコラボレイトしていくことが必要なのです。

危険なのは、今日デザインプロダクトの世界で徐々にモラルが失われていることです。効率性やコストパフォーマンスのために、環境汚染や低賃金による搾取が進んでいる。そんな環境でつくられたと知ったら、果たしてわたしたちは本当に喜びを感じられるでしょうか。これからのデザインにはもっと、エコロジーや品質改善のための努力が求められると思います。そのためには謙虚で注意深くあることが必要です。自然をリスペクトし、コントロールするのではなくコラボレイトすることです。

──これからのクリエイターにとって大事なことは何だと思いますか。

「破壊することなしにクリエイトすること。それは矛盾をはらんだとても困難なことではありますが。それにはさっきも言ったように、モラルをもつこと、そして美に対する哲学的な見方をもつことです。ナイーヴな考え方かもしれませんが、わたしはものの価値というのはつねにクリエイターの高潔な姿勢から生まれてくるものだと思うのです。

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FRANÇOIS BERNARD|フランソワ・ベルナール
デザインコンサルタント、アーティスティックディレクター。パリ国立高等装飾芸術学校(ENSAD)を卒業後、デザインコンサルタントを始める。2000年に自身の会社、ソシエテ・クロワゼを設立。現在メゾン&オブジェの他、インテリアブランドAM.PM.など、さまざまなブランドのコンサルタントを担当。デザインとアートの境界に関心を寄せる。

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