吉田麻也 (撮影/岸本勉・PICSPORT)

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吉田麻也は試合の前後こそシビアな分析を披露するが、たとえば練習初日などは多少リラックスした話をすることがある。話がうまくユーモアのセンスもあるので、そんなときは本人も周りの記者も笑顔に包まれている。

その吉田に笑顔がなかった。

合宿初日は25分間のランニングだけ。その中でハリルホジッチ監督はスタッフも含めた全員で走ったり、恒例だった合宿初日の取材対応をしなかったりと、いろいろな変化をもたらした。その姿は吉田にどう映ったのだろうか。

「今日はたいしたトレーニングしていないですけど、監督はいろいろメッセージをこの短い期間で与えようとしているのは感じますし、チーム一丸となってやろうという意思表示も伝わっています。まだこれからですけど、楽しいスタートが切れたと思います」

そう言いながら吉田は楽しそうな顔をしない。

「まだ何も話をしていないです。昼ご飯を一緒に食べただけで、そこでも特に何も」

吉田は何を心配しているのか。監督が交代し、自分のポジションがなくなることを怖れているのだろうか。だが、そんな個人的な問題を憂慮しているのではなさそうだ。

「半年分、他の国と比べると後れを取っていると思うので、少しでもその差を縮めるためには、より練習から密なモノにしていかなければならないし、質の高いモノにしていかなければならないなと思っています」

新監督が決まったが、それだけでお祭騒ぎをしてはいけないと言っているかのようだった。6月からはワールドカップ予選が始まるし、この3月の2試合は予選前の大切な予行演習。明るい吉田の厳しい表情は、そんな現実を突きつけられている選手の心を物語っていた。

【日本蹴球合同会社/森雅史】