若手が躍動したサニックス杯…大会から見る今季のユース年代“勢力図”

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文=安藤隆人

 U−17韓国代表の優勝で幕を閉じた、サニックス杯国際ユース大会。毎年、全国各地から強豪校、強豪ユース、U−17日本代表、海外招待チームが集結して行われるハイレベルなこの大会。今年のユース年代の勢力図を占う上でも、重要な位置づけとなっている同大会は、今年も多くの発見をもたらした。

 まず今大会で最大のインパクトを与えたのは、青森山田だ。昨年度はインターハイこそベスト4に食い込んだが、高校サッカー選手権大会では中津東を相手に、まさかの初戦敗退。失意からのスタートとなったが、この悔しさを味わったGK廣末陸、DF常田克人、北城俊幸が軸となり、守備力は昨年と変わらないレベルを保てている。一方で、攻撃面で不安を抱えていた。だが、昨年末に東京ヴェルディユースからFW神谷優太がやってきたことで、この不安は一気に解消された。

 日本代表MF柴崎岳らが背負った10番を背負い、トップ下に君臨した神谷は、巧みなボールキープ、正確なラストパス、そして強烈なシュートと、攻撃の中軸として機能。グループリーグ第3戦の東福岡戦では、GKの逆を突く強烈なミドルシュートを叩き込むなど、1得点1アシストの活躍を見せた。大津、東福岡、三菱養和SCユースと、今大会の最激戦グループと言われたグループBを3勝で1位通過。しかも大津戦は7−3の圧勝劇だった。決勝トーナメントでは準決勝でU−17日本代表を1−0で下すなど、その力は抜きん出ていた。

「神谷は非常に良かった。でも、それ以上に北城の存在が大きい。彼がかなり良い影響を与えてくれた」と黒田剛監督が語ったように、左サイドバックの北城が攻守において、献身的かつ効果的なプレーを発揮しただけでなく、精神的支柱としても、チームを引っ張っていったことが大きかった。4月に開幕するプレミアリーグイーストに向けて、非常に良いスタートを切ることが出来た。

 一方で青森山田に3−7で大敗し、グループB最下位に終わってしまった大津だが、チームとしてのポテンシャルの高さを感じることが出来た。先週土曜日のJ2リーグで熊本の特別指定選手であるCB野田裕喜が、現時点では熊本での活動を優先させているため、今大会は不在。守備の要がいなかったが、1、2年生が強豪との戦いの中で多くの経験を積むことが出来た。さらにFW一美和成、MF吉武莉央、MF河原創など、全国屈指のタレントも1、2年生をサポートしながら、奮闘を見せた。一方で野田はJ2リーグ第3節のアウェー・愛媛FC戦において、先発フル出場を果たし、1−0の完封勝利に貢献するなど、大きな経験を積んでおり、サニックス杯での結果こそでなかったが、今年はかなり全国の上位に食い込んでくるのは間違いないだろう。

 決勝トーナメント初戦で青森山田に0−2で敗れた大分トリニータユースも面白い。DF吉平駿とFW吉平翼の双子の兄弟、MF岩田智輝が形成するセンターラインがしっかりしており、昨年ほどのインパクトは無いが、堅実な戦いを見せてくれた。今年はプレミアリーグウエストに初参戦するだけに、弾みのつく大会となっただろう。

 4位に食い込んだアビスパ福岡ユースは、CB冨安健洋とMF崎村祐丞の攻守のキーマンがU−17日本代表として参加しているため不在であったが、ボランチのMF野中優之介を軸に、グループCでは星稜、国見、筑陽学園を相手に2勝1分け(1分けはPK負け)、無失点の結果で1位通過。U−17韓国代表とU−17日本代表に敗れたが、冨安不在の中、安定した守備を披露したことは、大きなプラスになるだろう。

 その反面、U−17日本代表は3位に終わった。グループA開幕戦で土砂降りの雨の中、U−17韓国代表と熱戦を演じたが、1−1のPK負け。「決勝で韓国にリベンジしたい」(MF佐々木匠)と意気込んだが、準決勝で青森山田にまさかの敗戦を喫した。だが、冨安がフィジカル的な能力が増し、FW伊藤涼太郎(作陽)とFW岩崎悠人(京都橘)の高体連ツートップコンビが、息のあったプレーを見せるなど、個々の成長の跡を見ることが出来たのは、大きな収穫であった。

 月末に行われる各フェスティバルで、プレシーズンは終了し、来月はいよいよプレミアリーグ、プリンスリーグが開幕する。フェスティバルで得た課題と収穫をどう生かすのか。今から非常に楽しみだ。