切り替え、緻密さ、特別なオーラ…選手たちが見たハリルホジッチ新監督

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文=元川悦子

 3月27日のチュニジア戦(大分)・31日のウズベキスタン戦(味の素)に向けて、31人の日本代表メンバーと12人のバックアップメンバーを選ぶという大胆な試みをいきなりやってのけたヴァイッド・ハリルホジッチ新監督。その新生・日本代表が23日、大分市内で始動し、新指揮官がどのようなチームマネージメントを見せるかが大いに注目された。数百人のメディア関係者とサポーターが詰めかける中、始まった初日の練習は、意外にもわずか25分間のジョギングのみ。ハリルホジッチ監督も選手に交じって走るというもおまけつきで瞬く間に終了した。

 岡田武史(現FC今治代表)、アルベルト・ザッケローニ、ハビエル・アギーレと3指揮官の下でキャプテンマークを巻いてきた長谷部誠(フランクフルト)は「昨日試合している選手もいますし、長い距離を移動してきている選手もいるので、今日の練習に関しては僕はそんなビックリはしてないですけど」と淡々としていたが、過去20年間を振り返っても新体制始動初日がこういう短時間の練習というのは異例としか言いようがない。その分、ピッチ外では徹底したミーティングを連日繰り返すと見られる。

 そんな新指揮官を、日本代表歴の長い面々はどう見ているのか。ジーコ、イビチャ・オシム、岡田、ザック、アギーレと5人の監督の下でプレーしてきた今野泰幸(G大阪)は「ピッチ内外のメリハリがしっかりしている。普段は友達のようにしていてもピッチに入ったらしっかりやろうと。自分たちに考えさせるオシムさんに似たところがあるのかもしれないですね」とオシム流を知る数少ない経験者として2006〜2007年当時に思いを馳せた。

 そのオシム時代はあまり知らないが、足掛け10年間代表でプレーしている長谷部は「少し話を聞いただけでも非常に細かいところまでこだわる監督だな」とハリルホジッチ監督の緻密さに目が行った様子。彼の場合、1日3部練習も厭わなかった鬼軍曹、フェリックス・マガト監督の下で長年プレーしているから多少のことには動じないはず。その百戦錬磨の長谷部に「細かい」と思わせる新指揮官はやはり只者ではないのだろう。

 だからこそ、エース候補の本田圭佑(ミラン)は「オーラがある監督という意味では、その通りじゃないかと思います」と特別な雰囲気を察知したようだ。「ワールドカップやアジアカップを見て、日本はもっと上を目指せると。ただ当然負けた原因があるし、それを変えていかないといけない。避けてはいけないところに目を向けているという意味ではいい機会」と改善点を意識的に抽出しようとしているハリルホジッチ監督の姿勢も前向きに受け止めていた。

 とはいえ、この日はあくまで25分走っただけ。ハリルホジッチ流の本領発揮はこれからだ。選手たちに事細かい要求や注文を突きつけてくるのも間違いないだろう。それをクリアできなければ、実績ある面々と言えども淘汰される可能性はゼロではない。新生・日本代表は彼ら自身が原点に返って足元を見つめ直すいいチャンスになりそうだ。