NASA、飛行機の翼に18基のプロペラを付けてみた

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飛行機が大量に使用するエネルギーを、いかにまかなうか。NASAが出した答えのひとつは、電気を動力源とする、18基のプロペラを付けた翼だった。

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電動飛行機を巡る昨今の話題を独占しているのが、太陽エネルギーのみを動力源とする航空機、ソーラーインパルス 2 (Solar Impulse 2) だ。5カ月間、約32,000kmに及ぶ世界一周飛行へと、今月に入り出発したところだ。

しかし既存のものとは異なる、環境にやさしい飛行方式を編み出そうとしているのは、ソーラーインパルスチームに限った話ではない。NASAもまた、この競争に加わっているのだ。

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航空機を飛ばすという目的においては、電池を使うよりもジェット燃料を燃焼させる方が圧倒的に有利だったのがこれまでの状況だ。しかしNASAが現在実験に取り組んでいる翼は、ついにその差を埋めることに成功する可能性がある。それを実現させる、新設計の主眼的要素は何か。長さ約9.5mの炭素複合翼には、リン酸鉄リチウムイオン電池を動力源とする、18基のプロペラが装着されているのである。

これは翼前縁非同期プロペラ技術 (Leading Edge Asynchronous Propeller TechnologyLEAPTech) 計画と呼ばれるもので、まだ飛行はできないものの、NASAでは実際に実験してみることを計画している。実験翼をトラックの荷台上部に固定し、カリフォルニア州エドワーズ空軍基地にある干上がった湖底で、時速約113kmで走らせてみようというのである。時期は今年後半を予定している。NASAが今週明らかにしたところでは、このシステムは昨年から開発が続けられていた。

これはNASAの「Xプレーン計画」の一環として研究されているものだ。Xプレーン計画は、先進的な実験機を50年以上に渡り世に送り出してきた。同計画が生み出した航空機の中には、1947年に史上初めて音速の壁を突破したロケット機や、スペースシャトルの開発で重要な役割を果たした試作機などが含まれる。

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これほど多くのプロペラを装着する狙いはどこにあるのだろうか。IEEE Spectrumサイトによると、揚力を生み出すために、翼の上面に沿った空気の流れを「直接的につくり出す」という理由から、多くのプロペラが必要になるという。既存の航空機は (ジェットエンジンに頼ることが多い) 前進運動のみで揚力を発生させている。

LEAPTech方式には3つの大きな利点がある。短い滑走路で離陸が可能となること。離着陸ではなく、効率よく巡航することを第一目標に、翼の最適化を行うことができること。そして、各モーターを異なった速度で回すことができる (名称に「非同期」が入っているゆえんである) ので、性能、乗り心地、騒音抑制を最適化できること、だ。

LEAPTechは「X-57」と呼ばれることになり、新しいXプレーンの基礎となる。性能としては、時速約320kmで飛行し、上昇限度約3,660m、航続距離約724kmとなる予定だ。しかしすべてのXプレーンがそうであるように、X-57もまた、新技術開発のための一手段であるに過ぎない。NASAの真の目的は、航空産業界が将来的に電気エネルギーに移行するのを、加速させることにあるのだ。

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