業務用からカワイイ雑貨に転身を遂げて大ブーム中の「マステ」

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 卒業式が全国各地で行われるこの季節。恩師や仲間に、色紙やカードを贈る卒業生の姿も見られる。昨今は「マスキングテープ」で、オリジナルな色紙やカードを作る人も多いようだ。

 このマスキングテープはいま、文房具好きやハンドメイド志向の女性を中心に大ブームを巻き起こしている。基本的に和紙でできた貼り直し可能なテープで、用途もデザインも豊富。100円ショップでも手に入る安価さと、アレンジや工夫によって作り上げるオリジナルな可愛さに、世代を超えて多くの女性が惹きつけられている。

 もともとマスキングテープは、雑貨用として使われるものではなかった。塗装や建築場などで、作業箇所以外を汚さないために使われる保護用テープなのである(マスキングとは「覆い隠す」や「包み隠す」の意)。

 こうした業務用テープが雑貨へと転身を遂げたのは2008年頃。火付け役となったのは、古くから工業用のテープを作ってきたカモ井加工紙だ。「mt」と名付けた雑貨・文具用マスキングテープのブランドを立ち上げ、多彩な色やデザインのテープの販売を始めると、次第に人気が広がっていった。

 主に職人が使用する“隠す”ためのテープから、多くの人が使用する“見せる”ためのテープへ。180度の発想の転換で、新たな市場を開拓したのである。

 いまや様々なデザインのマスキングテープが登場している。カラフルな色彩のものあれば、ムーミンやハローキティといった人気キャラターのものも。また、マスキングテープは和紙で作られており、手で切れるという機能性と、透け感のある独特な風合いを兼ね備えている。海外での人気も高く、JR東京駅には、寺や仏像やといった、日本らしいマスキングテープも売られている。

 用途も豊富だ。前述したカードに貼るなどといった文具的な使用のみならず、部屋を彩るインテリアとして利用する人までいるという。ママ友に聞いて購入したという20代女性はこう語る。

「最初は、子供の絵を壁に貼ったり、ノートに名前を書いたりと、もっぱら子供用に使っていたのですが、最近は楽しくなって、自分用に使っています。かつてプリクラも流行りましたが、シールって楽しいですよね。高いものではないので、気軽に買えるのも嬉しい」

“デコ”るグッズとしても、マスキングテープは優れているようだ。雑貨店の30代店員はこう語る。

「最近はマステのアレンジ本などもたくさん出ていますし、使い方は本当に、人それぞれです。手帳に付箋として使うOLさんもいたり、ネイルとして使う方、それからスマホカバーをデコる女子高生の方なども。世代を問わず、雑貨という枠を超えて、それぞれの使い方を楽しんでいただいます。

 今はスマホに限らず、何でも“デコ”るのが流行っていますね。貼り直しができるマステは使い勝手がよいようです。またハンドメイドはここ数年人気なので、その流れもあると感じています」

「ホビー白書2014年版」(一般社団法人日本ホビー協会発行)によると、クラフト市場はここ数年拡大傾向にあり、2014年は8673億円だった。消費者行動に詳しいニッセイ基礎研究所の准主任研究員・久我尚子氏は、クラフト市場およびマスキングテープ人気の背景について、以下のように分析する。

「できるだけお金をかけずに日常を彩りたい、潤いをもたせたいという欲求が高まっています。根底には節約志向がありますね。でも、節約するだけではなくて、自分らしさや個性を求める時代でもあります。これにはSNSなど、表現する場が増えているのも背景にあると思います。

 そういう場では、金額の高いものよりも、一点もののほうが、驚かれたり褒められたりしますよね。ハンドメイドが人気なのには、こうした背景があると考えられます。マスキングテープは、ハンドメイド用品の中でも種類も豊富で、また、貼るだけで難しい技も必要ありません。誰でも気軽に使えるのがいい点ですね」

 ちょっとした“可愛い”で、女性の気分はアガるもの。この春、細かな部分から、自分らしさを演出してみてはいかがだろう。