アギーレ前体制では招集されなかった宇佐美。念願の代表復帰で、意気込みも強いようだ。(C) Getty Images

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 ハリルホジッチ監督率いる新生ジャパンの初陣メンバーが3月19日に発表された。日本代表は、27日に大分でチュニジア、31日に東京でウズベキスタンとの国際親善試合を戦う。31名の正式メンバーと12名のバックアップメンバーが発表された今回の選考だが、日本代表は新指揮官のもと、いかなる戦いぶりを見せてくれるだろうか。
 
 そして、新体制の初陣メンバーに選ばれた選手たちが、所属チームでどのようなパフォーマンスを見せているのかも注目されるところだ。ここでは、新シーズンが開幕したばかりの国内組の現状をチェックする。

【日本代表PHOTO】ハリルホジッチ体制の初陣メンバー|FW&MF編

FW
興梠慎三(浦和)
今季成績(J1):2試合・1得点
 
 精度の高いポストワークで必ずと言っていいほどチャンスに絡み、加えて3年連続ふた桁ゴールと高い得点力を誇る。今季ファーストゴールとなった湘南戦での渾身のヘディング弾が、指揮官の心になにか訴えたものがあったのかもしれない。
 
 ただ昨季負った右腓骨骨折の影響はコンディション面でまだ残り、加えて湘南戦で鼻を打ち、山形戦で首を痛め、先のACLの北京遠征には帯同しなかった。
 
 それでもシーズン前は「早く実戦には戻りたいが、不安はある」と語るなど、いつピッチに立てるかどうかという状況から、おそらく本人も望外の4年ぶりの代表復帰。サッカーができる喜びを噛み締めながら、純粋にゴールを狙うはずだ。
 
FW
小林 悠(川崎)
今季成績(J1):2試合・1得点
 
 前体制下で代表デビューを飾るなど高く評価され、新体制でも選出された。もっとも、ここ数試合の優れたパフォーマンスを見れば納得だ。持ち味の裏への飛び出しはJリーグ屈指の水準にあり、ゴールへ向かう動きの質は高い。
 
 今季は足下でボールを的確に収め、攻撃の起点となる場面も増加。脂の乗った時期だけに、今回の招集は定位置確保に向けて最大のチャンスと言える。
 
FW
永井謙佑(名古屋)
今季成績(J1):2試合・0得点
 
 リーグ戦の開幕2試合では、相手に守備を固められ、持ち前の裏への飛び出しからゴールに絡むようなプレーは繰り出せなかった。
 
 しかし、ハリルホジッチ監督が視察した3月18日のナビスコカップ・川崎戦では、スピードに物を言わせた突破力を披露。前方のスペースを突いてチャンスに絡み、1ゴール・1アシストと躍動した。キャリアハイの12得点を奪った昨季を思わせるような働きを示している。
 
FW
宇佐美貴史(G大阪)
今季成績(J1):2試合・1得点
 
 まさに満を持しての選出だ。本人もその自覚は強く、「選出されて満足するのではなく、自分のプレーを練習中からしっかり出し、試合に出場して、チームに貢献できるように頑張りたい」と、目線は早くもA代表デビュー、定位置奪取へと向いている。
 
 ボールを持った時の迫力はリーグ屈指で、足下やシュートの技術は誰もが認めるところ。問題は、ボールを持たない時の攻守にわたる「オフ・ザ・ボールの動き」。指揮官がそのあたりをどう判断するかで、今後の処遇も変わるだろう。
 
FW
武藤嘉紀(FC東京)
今季成績(J1):2試合・2得点
 
 実力を出し切れなかったアジアカップでは失望を味わったが、束の間の休息を経て臨んだ2月の宮崎キャンプで切れのあるプレーを披露。「2年目のジンクス」と周囲が騒ぎ立てるなか、G大阪戦ではいきなり2ゴールを決めてFC東京に勝点1をもたらした。
 
 無得点に終わった2節の横浜戦も、二度ほどゴールを脅かして存在感を示している。メディアへの対応にもだいぶ慣れ、「コンディションも悪くない」と心身ともに良好な状態だ。
MF
今野泰幸(G大阪)
今季成績(J1):0試合・0得点
 
 開幕前の2月13日に左太腿裏の肉離れで戦線離脱を余儀なくされ、全治4〜6週間と診断されたが、ここまで順調に回復しており、今回の代表選出に至った。
 
 まだ100パーセントの状態とは言えないが、本人は「新しい監督になって始めての合宿でどんな練習をするのか今から楽しみです。毎日の練習を大切にして、学べるところは学んで、試合は結果にこだわりたい」と意気込んでいる。
 
MF
青山敏弘(広島)
今季成績(J1):2試合・0得点
 
 昨季は故障で離脱した時期もあったが、今季はシーズンインまでの調整も順調に進み、開幕戦ではエースの佐藤寿人に約50メートルの超ロングパスをピタリと合わせて、アシストをマーク。松本戦でも的確な判断と確かな技術でゲームメイクし、開幕2連勝に多く貢献した。
 
 代表復帰は本人も強く意識していたところで、新指揮官が好むとされる「パスの正確性」、「攻守の切り替え」、「セカンドボール」、「戦術的な柔軟性」、「豊富な運動量」をハイレベルで持ち合わせている。
 
MF
山口 蛍(C大阪)
今季成績(J2):2試合・0得点
 
 昨年9月に右膝を手術し、3月8日の今季J2開幕戦・東京V戦で211日ぶりの公式戦復帰を果たした。「まだ100パーセントの状態ではない」と語るが、続く15日の大宮戦を含め、素早い寄せ、力強いボール奪取と、離脱前とは変わらないパフォーマンスを見せている。
 
「今後、連戦になった時に膝がどういう反応をするか分からない」と不安は拭えないが、「自分が中心になりたい」と久々の代表戦へ意気込みは強い。
 
MF
柴崎 岳(鹿島)
今季成績(J1):2試合・0得点
 
 公式戦5連敗と低迷するチームにあって、本人のパフォーマンスも不完全燃焼気味だ。左右への配球は安定しているものの、高い位置でラストパスを出す機会は少なく、中盤の底から狙う球足の長いパスもディフェンスの網に引っかかるケースが目立つ。
 
 好材料を挙げれば、運動量か。何度もアップダウンを繰り返すスタミナは維持しており、コンディションには不安がなさそうだ。

 
DF
水本裕貴(広島)
今季成績(J1):2試合・0得点
 
 空中戦も地上戦も1対1では簡単に負けず、徹底したリスク管理でチームのバランスを保持。ビッグパフォーマンスはないものの、今季も与えられたタスクを忠実にこなしている。約半年ぶりの選出を受け、「監督の求めるものを理解して、勝利に貢献できるように頑張ります」とコメント。
 
DF
槙野智章(浦和)
今季成績(J1):2試合・0得点
 
 自称“DFW”のスタンスを貫き、不動の左ストッパーながら果敢な攻撃参加を繰り返して、浦和のぶ厚い攻撃を演出する。昨季、G大阪のパトリックを封じ込めたように、近年の外国人アタッカーに対する1対1の守備の強さも特筆すべき点に挙げられる。本人は「新しい出発となる日本代表に、新しい風を吹かせたい」と抱負を語る。
 
DF
森重真人(FC東京)
今季成績(J1):2試合・0得点
 
 自身初のアジアカップを経験し、またひと回り成長したのだろうか。今季のJ1・2試合を見るかぎり、1対1で競り負ける場面はほぼ皆無で、無駄なファウルもなく、良い意味で目立っていない。先制されても焦れずに戦えるメンタルタフネルが素晴らしく、DFとして大人になった印象さえある。
 
 人一倍負けず嫌いな性格は、ハリルホジッチ監督の哲学と合致。親善試合とはいえ、3月の代表戦でも鬼気迫るディフェンスが期待できる。
 
DF
太田宏介(FC東京)
今季成績(J1):2試合・0得点
 
 3月3日の練習中に左太腿裏を痛めながらも、G大阪とのJ1開幕戦、続く横浜戦に強行出場。アシストこそなかったが、際どい左足のクロスを連発していた。ただ、3月19日時点でフル出場できるコンディションになく、仮に今回の代表活動で症状を悪化させたら元も子もない。
 
 本人は「代表戦は意識しているし、調子を見ながらやっていきたい」と話しているが、無謀なアピールは控えるべきだろう。
 
DF
藤春廣輝(G大阪)
今季成績(J1):2試合・0得点
 
 スピードを活かした上がりが最大の特長で、縦の突破力は目を見張るものがある。初の代表選出に本人も驚きを隠せず、「強化部から連絡がありました。家に帰る直前の駐車場で聞いた時は『えっ?』みたいな感じ。なにか悪いことでもしたかなと思いました(笑)」。
 
 もっとも、左SBは長友や太田などライバルは多い。守備の課題は多いが、持ち前の攻撃力で猛アピールしたい。
 
DF
昌子 源(鹿島)
今季成績(J1):0試合・0得点
 
 左手の手術で離脱していたが、3月18日のACL・広州恒大戦で戦線に復帰。しかし、現役ブラジル代表のR・グラルに翻弄されるなど、アピールはできなかった。
 
 失点シーンは守備組織が崩壊していたこともあるが、個人能力で圧倒された面も否めない。局面での駆け引きやポジショニングを向上させる必要があるだろう。

GK
東口順昭(G大阪)
今季成績(J1):2試合・3失点
 
 昨季の途中から安定したパフォーマンスを続けており、前体制に続いて招集された。クロスの処理や飛び出す判断などでもミスが少なく、安定感は国内屈指だ。
 
 攻撃の起点となる場面も多く、セービング後に正確かつ長い距離のスローイングでカウンターの機会を狙っている。これまで川島や西川らの陰に隠れてきたが、新体制下では一気に序列を覆す可能性もある。
 
GK
西川周作(浦和)
今季成績(J1):2試合・1失点
 
 昨季ベストイレブンに選ばれた浦和の新背番号1は、リーグ戦ではほとんどミスなく、ビルドアップにも顔を出すなど、現代的なオールラウンダーぶりを発揮している。一方、ACLでは先の北京国安戦で、ハイボールに対しDFと交錯して決勝点を与えるミスを犯した(彼だけの責任ではないが)。初戦の水原三星戦でも不運だったとはいえ、味方に当たったクロスボールがニアサイドを抜けた失点は、彼であれば止めなければいけなかった。
 
 求められるのは、環境が変わった時に即結果を残すこと。「地元の大分だけに楽しみ。成長した姿を見せたい」と本人が語る故郷で錦を飾り、チームとともに幸先良いリスタートを切りたい。
 
GK
権田修一(FC東京)
今季成績(J1):2試合・2失点
 
 アジアカップに参戦しなかった分、本人は「比較的ゆとりを持って準備できた」とプレシーズンを振り返っている。その言葉どおり、キャンプから良い動きを見せており、横浜とのホーム開幕戦ではふたつのビッグセーブでチームの窮地を救った。
 
「枠内のシュートを止めるのが自分の仕事。でも、1試合良かっただけでは意味がないので、やり続けていきたい」というコメントには、代表でのスタメン獲りに向けての並々ならぬ決意も含まれているはずだ。

FW
豊田陽平(鳥栖)
今季成績(J1):2試合・1得点
 
 2節を終えたばかりだが、例年に比べてクロスを受ける機会が少なく、得意のヘディングでのゴールはまだない。それでも、ターゲットマンとしてはやはり日本屈指。今季も最前線で懸命に身体を投げ打っている。
 
 バックアップメンバーとして選出されているように、代表では今ひとつ主軸になり切れていないのが現状だが、“チーム再出発”を機に存在感をアピールしたい。
 
FW
川又堅碁(名古屋)
今季成績(J1):2試合・0得点
 
 今季は新戦力のノヴァコヴィッチに押し出される形でCFの二番手に降格。ここまでのリーグ戦ではわずか32分の出場に止まっている。
 
 しかし、ハリルホジッチ監督が視察したナビスコカップ・川崎戦で2得点ときっちり結果を残した。CKからのヘディングシュートが弾かれたところに鋭く反応した1点目、永井のクロスにボレーで合わせた2点目とも“らしさ”を示し、復活を予感させた。

MF
米本拓司
今季成績(J1):2試合・0得点
 
 駆け引きしながらボールを奪う技術は、紛れもなくJリーグ屈指のレベル。追い込むタイミング、予測のスピードも秀逸と守備面での貢献は大いに期待できる。
 
 課題は、本人も承知しているとおり「攻撃面」だ。今季もディフェンスでは主張しているものの、いざ速攻を仕掛けると最終局面で違いを生み出せず、ここまでゴールもアシストもない。ステップアップするには、“ボール奪取後のクオリティ”がひとつの鍵になる。
 
MF
谷口彰悟(川崎)
今季成績(J1):2試合・0得点
 
 前体制下でも代表入りが期待された逸材で、バックアップメンバーとして初選出。ボランチを主戦場とするが、戦術理解度が高く、CBやSBにもそつなく対応する。
 
 川崎ではCBを定位置としており、的確に長短のパスを散らして攻撃をサポートする。守備の対応でまだ粗さは目立つが、それを補って余りある展開力は魅力。川崎の番記者たちにとっては納得の選出だ。
 
MF
大森晃太郎(G大阪)
今季成績(J1):2試合・0得点
 
 昨季、G大阪の三冠獲得に貢献した主力のひとりで、今季も2列目で定位置を確保している。最大のセールスポイントは、無尽蔵のスタミナと献身性だ。
 
 試合の終盤でも、ボールホルダーに全力で寄せる姿は、もはやお馴染み。攻守の素早い切り替えを標榜する長谷川イズムの体現者とも言える。繊細なボールタッチと鋭いドリブルを兼備し、攻撃でも違いを作り出す。
 
DF
千葉和彦(広島)
今季成績(J1):2試合・0得点
 
 広島が誇る鉄壁の3バックの要は今季も健在だ。巧みに身体の向きを変えて、ボールを前に持ち運ぶテクニックはさすがのひと言。安定したポゼッションで攻撃に厚みをもたらしつつ、森粼和との最終ラインでのパス交換もスムーズに行なっている。
 
DF
塩谷 司(広島)
今季成績(J1):2試合・0得点
 
 キャンプ序盤は腰の張りで別メニュー調整だったが、開幕にはきっちりと間に合わせた。攻撃の展開力、対人の守備は相変わらずハイレベル。活動量も非常に多く、ボール奪取から敵陣のゴール前まで迷わずオーバーラップしていく積極的な姿も見られる。アジアカップでは一度もピッチに立てなかった悔しさを忘れてはいない。
 
DF
鈴木大輔(柏)
今季成績(J1):2試合・1得点
 
 今季ここまで公式戦全6試合にフル出場。近藤、増嶋が故障離脱と苦しい台所事情のDF陣を牽引している。持ち前のフィジカルと空中戦の強さに加え、吉田監督の就任に伴ってビルドアップ参加への意識も格段にアップしてきた。
 
 パス精度にはまだまだ向上の余地があるものの、攻守に関われる選手として新たな一歩を歩み始めた。「代表に入るためには結果を出し続けるしかないと思う」と今後のさらなるアピールを誓っている。
 
DF
車屋紳太郎(川崎)
今季成績(J1):2試合・0得点
 
 今季、開幕から川崎のスタメンに名を連ねる期待のルーキーは、バックアップメンバーとして代表初選出。足下のテクニックに長けたレフティで、ボールタッチの柔らかさと展開力、精度の高いキックも光る。
 
 川崎ではSBとウイングバックを主戦場とするが、CBにも対応可能なユーティリティ性も魅力。攻守の総合力に長けたSBとして、指揮官のお眼鏡に適ったようだ。
 
GK
林 彰洋(鳥栖)
今季成績(J1):2試合・1失点
 
 相変わらずの安定感を誇り、鳥栖の堅守を最後尾から支える。クロス処理やシュートストップなどプレー内容もさることながら、守備陣との連係も良く、ピンチを未然に防いでいるのが印象的だ。
 
 3月18日のナビスコカップ・松本戦では、チームを救う好セーブを連発。今回はバックアッパーとしての選出だが、総合的な能力は他のGK4人と比べても遜色ない。