新布陣は「4−3−3」?  “手元の資料”が示すハリルJAPANの全貌とは

写真拡大

文=青山知雄

 自身初めての日本代表メンバー発表でテーブルから立ち上がり、身振り手振りを加えながら自らの指針を表明したヴァイッド・ハリルホジッチ監督。3月27日のチュニジア戦(大分)、同31日のウズベキスタン戦(東京)に向け、31人の代表選手とバックアップメンバー12人を選出し、ラージグループで戦っていく方向性を打ち出したが、果たして指揮官はいかなるシステムと布陣での戦いを考えているのだろうか。

 そのポイントはハリルホジッチ監督自ら読み上げた順番と、手元に持っていた資料にある。

 日本代表メンバーが発表される際、選手はポジションごとに生年月日が早い選手から掲載される。今回も会見後に配付されたメンバーリストでは、通常どおりの順番に整理されて並んでいたが、ハリルホジッチ監督が読み上げた順番は、リストとは異なっていた。会見時に監督の“プレゼン”を聞きながら、わずかな違和感を覚えていたが、自分のメモとリリースを見て、その原因が判明した。

 まずは指揮官が読み上げた順に代表メンバーを紹介していこう。

■GK
川島永嗣(スタンダール・リエージュ/ベルギー)
東口順昭(ガンバ大阪)
西川周作(浦和レッズ)
権田修一(FC東京)

<バックアップ>
林彰洋(サガン鳥栖)

■DF
酒井高徳(シュトゥットガルト/ドイツ)
酒井宏樹(ハノーファー/ドイツ)
内田篤人(シャルケ/ドイツ)
吉田麻也(サウサンプトン/イングランド)
水本裕貴(サンフレッチェ広島)
昌子源(鹿島アントラーズ)
森重真人(FC東京)
槙野智章(浦和レッズ)
太田宏介(FC東京)
藤春廣輝(ガンバ大阪)
長友佑都(インテル/イタリア)

<バックアップ>
塩谷司(サンフレッチェ広島)
鈴木大輔(柏レイソル)
千葉和彦(サンフレッチェ広島)
車屋紳太郎(川崎フロンターレ)

■MF
長谷部誠(フランクフルト/ドイツ)
柴崎岳(鹿島アントラーズ)
今野泰幸(ガンバ大阪)
青山敏弘(サンフレッチェ広島)
山口蛍(セレッソ大阪)
香川真司(ボルシア・ドルトムント/ドイツ)
清武弘嗣(ハノーファー/ドイツ)

<バックアップ>
谷口彰悟(川崎フロンターレ)
米本拓司(FC東京)
大森晃太郎(ガンバ大阪)
高萩洋次郎(ウェスタン・シドニー・ワンダラーズ/オーストラリア)

■FW
本田圭佑(ミラン/イタリア)
永井謙佑(名古屋グランパス)
小林悠(川崎フロンターレ)
岡崎慎司(マインツ/ドイツ)
大迫勇也(ケルン/ドイツ)
興梠慎三(浦和レッズ)
乾 貴士(フランクフルト/ドイツ)
武藤嘉紀(FC東京)
宇佐美貴史(ガンバ大阪)

<バックアップ>
柿谷曜一朗(バーゼル/スイス)
川又堅碁(名古屋グランパス)
豊田陽平(サガン鳥栖)

 勘のいい方はすでにお気づきだろう。ちなみに指揮官はDFのバックアップメンバーを説明した際に、「塩谷は右サイドのバックアップ、車屋は左サイドバックのバックアップを考えている」と話していた。そこからも分かるとおり、会見で読み上げたのはポジションごとに右からだったと想定される。

 次に彼らをどんなシステムで使おうとしているのか。その答えはハリルホジッチ監督が会見時に持ち込んだファイルにあった。指揮官はその資料を持ちながら“プレゼン”に臨んで選手名を読み上げたが、会見が終わって退席する際にチラリと資料が見えた。そこに記載されていたシステムは、4−3−3のダブルボランチ。各ポジションに複数の選手名が縦積みで記載されており、考え方によってはプライオリティの高い順に書いてあった可能性もある。

 読み上げられた選手順と手元の資料にあった4−3−3システム。この両面から代表メンバーを整理すると、指揮官の意図が見えてくる。

■GK
川島永嗣(スタンダール・リエージュ/ベルギー)
東口順昭(ガンバ大阪)
西川周作(浦和レッズ)
権田修一(FC東京)

■右SB
酒井高徳(シュトゥットガルト/ドイツ)
酒井宏樹(ハノーファー/ドイツ)
内田篤人(シャルケ/ドイツ)※負傷中

■右CB
吉田麻也(サウサンプトン/イングランド)
水本裕貴(サンフレッチェ広島)
昌子源(鹿島アントラーズ)

■左CB
森重真人(FC東京)
槙野智章(浦和レッズ)

■左SB
太田宏介(FC東京)
藤春廣輝(ガンバ大阪)
長友佑都(インテル/イタリア)※負傷中

■セントラルMF
長谷部誠(フランクフルト/ドイツ)
柴崎岳(鹿島アントラーズ)
今野泰幸(ガンバ大阪)
青山敏弘(サンフレッチェ広島)
山口蛍(セレッソ大阪)

■攻撃的MF(トップ下)
香川真司(ボルシア・ドルトムント/ドイツ)
清武弘嗣(ハノーファー/ドイツ)

■右WG
本田圭佑(ミラン/イタリア)
永井謙佑(名古屋グランパス)
小林悠(川崎フロンターレ)

■CF
岡崎慎司(マインツ/ドイツ)
大迫勇也(ケルン/ドイツ)
興梠慎三(浦和レッズ)

■左WG
乾貴士(フランクフルト/ドイツ)
武藤嘉紀(FC東京)
宇佐美貴史(ガンバ大阪)

 アルジェリア代表でも同システムを用いており、ハビエル・アギーレ前監督やアルベルト・ザッケローニ元監督も採用していた形。日本サッカー協会の技術委員会と相談した上で、チームの立ち上げにあたって4−3−3のダブルボランチをベースに考えたとしても不思議はない。ボランチの優先順位は不明だが、指揮官が現時点で考えているスタメンがうっすらと見えてくる。

 日本代表は23日に大分市内で集合し、同日からキャンプをスタートさせる。「最初の合宿に力を注いで、皆さんに私たちのやる気を見せたい。ロシアに向けて、これが我々の道だというものを見せていきたい」と語ったハリルホジッチ監督。そのお披露目は一週間後に迫っている。初めてのキャンプで選手たちにいかなるコンセプトを伝えるのか、そしてどんなメンバーで27日のチュニジア戦に臨むのか。チームの動向から目が離せない時期が続きそうだ。