ハリルホジッチ監督

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異例の1時間超えとなったヴァイッド・ハリルホジッチ監督就任会見に続き、初めてのメンバー発表も、これまた型破りだった。

これまでは会見直前にメンバー表と予定が配られ、監督には「なぜこの選手を選んだのか」「どうしてこの選手を選ばなかったのか」という質問が続いていた。ところが会見が始まり、霜田正浩技術委員長の話が終わると監督はすっと立ち上がり、ひな壇を降りて前に進む。そして壇の前に立ててあったスタンドからマイクを掴むと、スライドを映しながら一人ずつ名前を呼び上げていった。

ポジションごとにどう考えているのかを簡単に説明し、一通りの発表を終えると、選ばなかった遠藤保仁についてだけは「敬意を払う」と言及し、やっと席に着いた。その後も報道陣の質問に対して言葉を尽くして説明し、会見の時間は延びていった。

司会が最後の質問を受け付け、会見を終わろうとしたとき、監督が通訳に何か言う。監督の指した先には大ベテランの記者が座っていた。その記者は手を挙げていたのだが指名されていなかった。そのことに監督は気づき、敬意を表しつつ質問を受け付けたのだ。「簡単な質問にしてください」というユーモアも忘れていなかった。

会見の最初と最後には日本語の挨拶を入れる。終了後、思わず記者席から拍手がわき起こると、監督も拍手をしながら記者席を見る。それからゆっくりと準備をしてノンビリと会場を後にした。マイペース、泰然という言葉が似合う会見だった。カジュアルとも言える雰囲気は、多くの人の心を掴んだのではないか。

もっとも、就任会見からしばらくは、監督と報道陣の「ハネムーン」状態が続くのはいつものこと。監督は記者会見の中で「多くの人に練習を見に来てほしいが、戦術練習のときにはシャットアウトする。選手に高い集中力を求めるので許してほしい。そして練習では多くの戦術練習を入れる」と語った。来週から始まる合宿で、情報を集める報道陣との間に最初の軋轢が生まれる可能性は否定できない。

それでも自信に満ちあふれた様子、真摯に質問に答える姿勢など、ハリルホジッチ監督は人間的魅力に溢れている。このまま成績が伴えばファンは増えること間違いない。

【日本蹴球合同会社/森雅史】