記者席の前に立って、メンバーを読み上げたハリルホジッチ監督。バックアップも含めて43人もの選手を選出した。 写真:菅原達郎(サッカーダイジェスト写真部)

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 まるでミュージカルでも観ているかのようなメンバー発表だった。
 
 3月27日のチュニジア戦、同31日のウズベキスタン戦に向けてJFAハウスで開かれた記者会見で、“主役”のハリルホジッチは、記者席の前に立って身振り手振りを交えながら雄弁に語ったのだ。
 
 その姿からは一種のプライドが見え隠れした。就任して間もないからといって他のスタッフに任せたわけではなく、自分が可能な限りの時間を費やして作成したリストだ、と──。
 
 実際、バックアップを併せたメンバー43人には、アギーレ政権下で未招集のメンバーが複数人含まれている。ナビスコカップでの視察で監督自身の目に留まった永井、代表初選出の藤春らは、“ハリル・カラー”を示す人選なのかもしれない。
 
 またベテランの遠藤を外した背景には、「世代交代」の狙いがある。「ロシア・ワールドカップに向けてチームを作る」と明言したハリルホジッチ監督は、「五輪世代で伸びそうな選手がいれば、今後試していきたい。オリンピックのチームを注意深く見守っていきたいと思う」ともコメントしている。
 
 3月の連戦でのスタメンを予想する前にまずは、およそ1時間に及んだ記者会見の内容をテーマ別にまとめてみた。
 
【日本代表】ハリルホジッチ新体制初招集メンバー[MF&FW]|3.27チュニジア戦&3.31ウズベキスタン戦

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<メンバー発表の会見要旨>
●メンバー選考の基準について
 
「その時点でベストなパフォーマンスを期待できる選手。例えば、大久保(川崎)選手なんかはこの1〜2年、Jリーグで得点王を獲っています。もし必要と判断すれば、彼をもちろん呼びます。
 
 日本代表の選手は、人間性もスポーツ面もレベルが高くないといけません。国民の代表としてプレーするわけですから、それに行動が伴う選手である必要があります」
●遠藤(G大阪)を外した理由
 
「彼が日本のレベルを引き上げてくれたことは確かです。ただ、私はロシア・ワールドカップに向けた準備のために日本代表監督に就任しました。
 
 もちろん、大事な試合で遠藤選手が必要な時は呼びたいと考えています。彼は豊富な経験を持っていて、仲間から信頼されているのも知っています。ただ、今回はより若い選手を選びました」
 
●興味深い選手について
 
「昨夜、(ナビスコカップで)永井選手を直接見ました。スピードは素晴らしく、現代フットボールに必要な要素を持っています。
 
 今のサムライブルーに少し足りない背後へのスピードを、彼ならもたらせると期待しています。今回の代表活動を経験することでよりスピードは磨かれ、背後へボールを要求することで、得点のチャンスが生まれると思います。
 
 もちろん、永井選手にも向上すべき点はありますが、選手として本当に興味深い。いろいろ話をしたいと思っています」
 
●キャプテンについて
 
「キャプテンの役割はとても重要です。試合をこなしながら、キャプテンに相応しい選手を見つけたいと思います。キャプテンはひとつの模範ですから、良い行動をしてもらわないといけないですし、仲間と強い団結心でつながってもらわないと困ります。
 
ピッチの上でも外でも、グループが困難な状況に陥った時に問題を解決できる人物がキャプテンに相応しい。もしかしたら、何人かキャプテンが必要になるかもしれません。誰がなるにせよ、グループを成功に導く仕事を期待しています」
 
●バックアップメンバーの意義

「なぜこの段階でバックアップメンバーまで発表したかと言えば、グループは大きいというメッセージが込められています。国内組、国外組、いろんな選手に可能性があり、いつ呼ばれてもいいように準備してほしいということを示したかったのです。
 
 選手たちには、これから競争が始まるということを認識してもらいたい。良いプレーをすれば、選びます。グループで勝つ、それを私はなにより期待しています」
 
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 さて、スタメン予想だが、アルジェリア代表時代の基本システムである4-2-3-1にバックアップ以外の31人を当てはめると、左図のようになる。
 
 ハリルホジッチ監督は自身のカラーを強く打ち出すタイプの監督だが、それ以上に「勝利」へのこだわりが強く、まずは計算できる“主力組”がスタメンに名を連ねるだろう。
 
 目新しさがあるとすれば、ボランチと両SBの顔ぶれか。招集外になった遠藤の代役として柴崎がボランチへ。最終ラインは長友と内田が負傷中で、さらに太田のコンディションも不安視されているため、左SBに酒井高、右SBに酒井宏が入りそうだ。
 
 とはいえ、ハリルホジッチ監督は「初戦と2戦目で出場するメンバーは違うかもしれないが、AチームとBチームという意味合いではない」とも語っており、2戦連続で同じスタメンが並ぶ可能性は低い。
 
 特に中盤の配置に関しては、「攻撃的、守備的とふたつのオーガナイズを準備している」と複数のパターンを併用する見込みだ。
 
 こうした発言を考慮すれば、新監督が自身のカラーを伝える意味での大抜擢があってもおかしくはない。キャンプでのアピール次第では、従来の序列を覆す選手も出てくるかもしれない。
 
取材・文●白鳥和洋・五十嵐創(サッカーダイジェスト編集部)