今季、アメリカ女子ゴルフツアーに本格参戦した横峯さくら(29歳)が予想外の苦戦を強いられている。開幕2戦目から2試合続けて出場したものの、ともに予選落ち。101試合連続予選通過の国内ツアー記録保持者の2試合連続予選落ちは、2013年以来2度目の屈辱だった。

 本場の難しいコースセッティング、日本と違う芝質、外国選手との飛距離の差など技術的な面に加え、長距離の移動や言葉の問題など環境の面も原因とされる。周辺には今後の活躍を疑問視する向きもあるが、元コーチ兼キャディーの父・良郎氏は豪語する。「それでも、さくらはアメリカで勝てる」と。その理由とは......。

―― ここまでのさくらプロの戦いぶりをどう見ていますか?

良郎氏(以下同)「やっぱり本格的にアメリカに行くのは初めてだからさ。慣れていないのよ。コースにも環境にもね。さくらは英語もしゃべれないし、移動距離もハンパじゃないからさ。でも、慣れてくれば大丈夫だと思うよ」

 ここまでの苦戦ぶりを振り返ってみよう。

 まず開幕戦のコーツゴルフ選手権(現地1月28〜31日/フロリダ州ゴールデンオカラGC)は、最初から本戦出場の権利がなく、予選会に出場したが、3オーバーで本戦出場を逃がした。横峯は昨年暮れの最終予選会(ファイナルQT)で11位通過だったため、ツアー全戦に無条件でフル出場する権利がなく、今季は今後も出場が不確定の大会の方が多い。

―― 日本で生涯獲得賞金10億円を誇るさくらプロは、国内では予選会出場とは無縁でした。トップ選手のプライドが傷つく心配はないですか?

「さくらは3人の娘の中でも気持ちが一番強い。負けるのが大嫌いだし、勝負になれば燃えるのよ。そこは予選会も本戦も、日本もアメリカも一緒よ」

 同じく出場権がなかった開幕2戦目のピュアシルク・バハマLPGAクラシック(同2月5〜8日/バハマ・オーシャンCGC)は、ウェイティング(出場優先順位)が1番目だったので、韓国選手の欠場により繰り上がり出場が決定。ようやく本格的な米ツアーデビューの場を確保したが、結果は予選2日間通算5オーバーで、無念の予選落ちを喫した。

 3戦目はISPSハンダ・オーストラリア女子オープン(同2月19〜22日/ロイヤルメルボルンGC)で、この大会は初めて事前に出場が決まっていたため、好成績が期待されたが、結果は予選2日間通算6オーバー。カットラインに1打及ばず、またしても無念の予選落ちとなった。

―― 2試合連続の予選落ちはさすがにショックだったのでは?

「いや、全然。開幕戦の予選会は風邪をひいていたのに経験になるから出たと聞いているし、体調管理の問題よ。オーストラリアはカットに1打差でしょ」

 良郎氏の言葉を裏付けるように、スポット参戦した国内ツアー開幕戦、ダイキンオーキッドレディース(3月6〜8日/沖縄県・琉球GC)はしっかり予選通過し、通算3アンダー16位。横峯も「アメリカでの予選落ちはいい勉強だと思っています。向こうではボギーを怖がって攻めていけなかったんですけど、今日は攻めるゴルフができました。今後のアメリカツアーにつながると思います」と復調への手ごたえを口にした。

―― それでは、次戦のファウンダーズカップ(3月19〜22日、アリゾナ州ワイルドファイアGC)あたりから、そろそろ上昇気流に乗りますか?

「ゴルフは今週優勝した選手が、翌週は予選落ちなんてのがよくある。それはコースとの相性が大きいからよ。さくらは日本で23勝もしているし、101試合も連続で予選落ちしなかったわけ。これはどういうことかというと、どんなコースに対しても対応できる能力があるってこと。それは海外も同じよ。去年の全米女子オープンは7位だったしさ。さくらは、海外でもほとんど予選落ちしていないからね」

 実際に横峯は、2006年の全英女子オープンから海外メジャーに参戦して、昨年まで計19試合で予選落ちはわずか4回。最もコースセッティングが難しいとされる全米女子オープンでは計6回の出場で予選落ちなし。10年には10位、昨年は7位に食い込んでいる。

―― 死角は見当たらない?

「よくアメリカの芝はボールが沈むから難しいといわれるけど、さくらは上からカットに打つフェーダー(※)だから関係ないわけ。それに来年のリオデジャネイロ五輪に出たいというモチベーションがあるからね。そのためにポイントが高いアメリカツアーに行ったんだから、心身ともにやる気満々よ」
※(右利きの場合)球が落ち際に右に曲がるスライス系のボールを得意とするプレイヤー

 五輪代表は各国の世界ランキング上位者が代表に決まる。ランキングを決めるポイントは、各試合に設定されるが、日本ツアーよりも米ツアーの方が格段に高い(※2)。現時点では大山志保が日本のトップだが、横峯が米ツアーで上位を続ければ、逆転の目は十分にあるだろう。
※2 大会別の世界ランキングポイントを見ると、全米女子オープンなど、アメリカのメジャー大会の優勝者ポイントは100。日本のメジャー、日本女子オープンは19。国内で一番高い大会は、アメリカツアーにも組み込まれているミズノクラシックで28

―― 楽しみですね。

「だからさ、さくらは目先の成績より、もっと先を見ているわけよ。アメリカでペースをつかんできたら、優勝チャンスも十分あると思うよ」
 
 強気な良郎氏の言葉は現実になるのか、文字通り「さくら咲く」の朗報が届くのか、注目したい。

高倉 瞬●文 text by Takakura Shun