2015年前半の外国為替市場における最大のトピックは、1月15日に為替相場を襲ったスイスショックだろう。ここから投資家はどのような教訓を得るべきか、為替のスペシャリスト、松田トラスト&インベストメント代表の松田哲氏が解説する。

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 スイス国立銀行(中央銀行、SNB)は1月15日、約3年間続けていた「1ユーロ=1.20スイスフランを維持するための無制限介入」(1.20スイスフランでのユーロ買い・スイスフラン売り介入)を突然やめた。スイス中銀は直前まで「無制限介入は続ける」と発表していただけに、いきなりハシゴを外すとは私も思っていなかった。

 この事態を受け、スイスフランは対ユーロで30%近く急騰し、為替市場は騒然となった。この時、スイスフラン/円も跳ね上がり、ユーロ/円など他のクロス円(米ドル以外の通貨と円の通貨ペア)は大きく下がった。

 市場に参加している投資家にしてみれば、スイスの中央銀行がそんなことをやっていいのかと不信感が募る出来事だったに違いない。ただ、中央銀行は金融政策について嘘をついてもかまわないという慣行がある。今回のスイスショックから得られる教訓は、一言でいえば、「中央銀行のコメントは信じてはいけない」ということだ。

 スイス中銀が対ユーロの上限を撤廃し、介入を突如やめたのは、翌週1月22日の欧州中央銀行(ECB)理事会で、ECBが量的緩和策の実施を発表することを察してのことだった。蓋を開けてみればその通りで、ECBは同日、2016年9月まで継続する国債買い入れ型の量的緩和の実施を決定した。
 
※マネーポスト2015年春号