投資情報会社・フィスコ(担当・小瀬正毅氏)が、3月16日〜3月20日のドル・円相場の見通しを解説する。

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 今週のドル・円は、連邦公開市場委員会(FOMC)で、「忍耐強く」という文言が削除される可能性が高まっていること、日本銀行金融政策決定会合で追加緩和策が協議される可能性が高まっていること、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)による外貨建て資産の投資増額への思惑があることから、ドルは強含みに推移すると予想される。

 ドル安・円高シナリオとしては、米国議会で通貨安に伴う損害賠償請求を企業に認める動き、環太平洋経済連携協定(TPP)に為替条項を盛り込む動きが強まっていること、3月期末に向けた本邦機関投資家のリパトリ(外貨建て資産売却・円買い)、ギリシャの債務問題への警戒感などが挙げられる。

【日本銀行金融政策決定会合】(16-17日)
 日本のコアインフレ率は、4月から消費増税の影響(+2.0%)が無くなることで、原油価格が続落した場合、マイナスに落ち込む可能性が高まっている。黒田日銀総裁は、「物価の基調に変化が生じ目標達成に必要なら躊躇なく調整する」と述べていることで、日本銀行が量的・質的金融緩和第3弾を打ち出す可能性が高まりつつある。

【連邦公開市場委員会(FOMC)】(17-18日)
 イエレンFRB議長は、2月の議会証言で、3月のFOMCで「忍耐強く」という文言を削除する可能性を示しながらも、6月のFOMCでの利上げに繋がるものではない、と強調した。米国の2月の雇用統計の改善を受けて、「忍耐強く」が削除される可能性が高まっていることで、リスクシナリオは、維持された場合となる。イエレンFRB議長の記者会見で、利上げ開始の時期を見極めることになる。

【日米の政治的なドル高・円安抑制】
 米国議会では、通貨安に伴う損害賠償請求を企業に認める法案が審議されており、TPPなどの通商協定に為替条項を盛り込む動きが強まっていることで、要警戒となる。

 安倍政権は、対内的には、4月の統一地方選挙に向けて、原材料輸入価格の高騰に苦しむ地方中小企業への配慮から、円安を牽制するスタンスを強めている。対外的には、TPP交渉が難航していることで、米国の製造業や議会への配慮から、ドル高・円安を抑制するスタンスを強めている。

 3月16日-20日に発表予定の主要経済指標のポイントは次の通り。

○(米)2月鉱工業生産 16日(月)午後10時15分発表
・予想は、前月比+0.3%
 参考となる1月実績は+0.2%。製造業の生産指数は+0.2%で市場予想を下回った。自動車・部品の伸び悩みが押し下げ要因。ドル高や世界経済の減速による影響が表面化しつつある。1月の鉱業の生産指数は原油安の影響で1%低下。2月については、鉱業部門の低迷が続いていることから、市場予想を多少下回る伸びにとどまる可能性がある。

○(日)日銀金融政策決定会合 17日(火)会合終了予定時刻は未定
・予想は、金融政策の現状維持
 原油などのエネルギー価格の低下によって、インフレ率は鈍化を続けている。ただし、円安進行による実質購買力の低下や消費抑制への懸念は消えていないため、追加緩和は容易ではないとの見方がある。物価見通し、輸出、米国経済の先行きについての日銀の見解が注目されそうだ。

○(米)米連邦公開市場委員会(FOMC)会合 18日(水)日本時間19日午前3時結果判明
・予想は、金融政策の指針変更の可能性
 2月雇用統計は、労働市場の穏やかな改善が続いていることを示唆する内容だった。インフレ進行の兆しは出ていないが、今回のFOMCでは、金融政策の指針(フォワードガイダンス)から「忍耐強く」の文言が外される可能性がある。ただし、この文言が残された場合、6月利上げの思惑は後退し、ドル上昇は抑制される可能性がある。

○(米)2月景気先行指数 19日(木)午後11時発表
・予想は、前月比+0.3%
 参考となる1月実績は+0.2%。12月実績の+0.4%を下回った。米経済成長率がやや鈍化している可能性があることを示唆する結果となった。2月については、住宅建設のペースがやや減速していることや製造業の新規受注見通しが改善していないことから、大幅な改善は期待できないとの見方が多い。市場予想は妥当な水準か。

 主な発表予定は、17日(火):(米)2月住宅着工件数、(米)2月住宅建設許可件数、18日(水):(日)2月貿易収支、19日(木):(米)3月フィラデルフィア連銀景況調査

【予想レンジ】
・米ドル/円:119円00銭-124円00銭