意外に知られていない、生命保険料の算定の背景。そこには、医師にも引けをとらない難関資格「アクチュアリー」の存在がある。

 とかく複雑、難しいといわれる生命保険は、「アクチュアリー」というリスク算定の専門家によって設計されている。一般にはあまりなじみがないが、医師や弁護士に勝るとも劣らない難関資格で、海外では人気の高い職種だ。商品設計のほか、保険金の支払いに備える責任準備金の評価なども行う。

 ライフネット生命でアクチュアリーを務める岸本巌さんは「国の統計のほか、日本アクチュアリー会が各保険会社の実績を集約した『標準生命表2007』などを基に保険料を算定しています」と言う。

 簡単な例として、35歳の女性が1年以内の死亡時に保険金1千万円を受け取れる保険を設計するとしよう。標準生命表2007によると、35歳女性の年間死亡数は10万人あたり69人。総支払い額は6億9千万円と計算できる。一人あたりの年間保険料は6億9千万円÷10万人=6900円だ。

 こうした基本的な計算に、人件費や宣伝費、事務所費用などの運営経費を乗せ、世代特性や社会の流れも勘案する。年配者向けの保険なら、“長生きリスク”も考慮する。

「最近は長期入院が減っていますが、長生きすれば入院の可能性は増えます。入院リスクと長生きリスクの因果関係を考慮しながら保険を設計します」(岸本さん)

AERA 2015年3月9日号より抜粋