香川らの“カウンセリング”も?ハリル監督「自信を失っている選手と対話する」

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 質の高さは疑いない。けれども能力を出し切れていない。以前は持っていた自信を今は失っている――。バヒド・ハリルホジッチ監督は、日本代表監督就任を内諾してからの2週間で数多くの代表戦をビデオでチェックし、ある問題点に気づいた。それは「選手の何人かは自分自身に対して自信を失っている」ということだった。

「この2週間、いろいろなビデオを見てきた。ブラジルW杯、アジア杯に関しても全試合しっかりと見て、分析した。クオリティーはある。結果はすべて良かったとは思わないが、彼らはクオリティーを見せたと思う」

 個々の能力を認めた指揮官は、しかしながらこう続けた。「そうは言っても、少し自信を失っているかもしれない」。名前こそ明かさなかったが、ズバリ言ったのは「その選手に関しては、2、3年前はもっといい選手だなと思っていた」ということだ。

 だれを指しているのかは定かではないが、たとえば飛ぶ鳥落とす勢いでドルトムントの寵児となったMF香川真司(ドルトムント)は、マンチェスター・ユナイテッドでの2年目に出場機会が激減したころから大きく調子を落とし、日本代表でも決定的な仕事をなかなかできずに苦しむことが増えていった。

 1月のアジア杯ではヨルダン戦で1得点を挙げ、7か月ぶりに日本代表でゴールをマークしたが、大会中に打ったシュートの多くはGKの正面を突いたり、枠を外れていた。好調時の自信に溢れた香川なら、GKの間合いを外して決めていたであろう場面も少なくなかった。

 ブラジルW杯で失意を味わい、燃え尽き症候群に陥っていたというDF長友佑都(インテル)も、ハリルホジッチ監督が言及した「自信を失っている選手」の一人かもしれない。アジア杯で会見に出席した際、「ブラジルW杯のときの心境と次のW杯に向けての心境を語るのは難しい」と言葉を詰まらせた。以前はいつでもどこでも元気いっぱいだったサイドのダイナモは、負傷も増えており、表情の陰りも目立つ。

 指揮官は「自信を失っている選手には、個人的にもグループとしても話をしないといけないと思っている」と言い、自信回復のためには「勇気づけることが必要だ」と断言。「私の仕事の多くは彼らを勇気づけること、自信を付けること、そして喜びを持つこと。彼らがすでにいいプレーをしたということを忘れないように。そうすることができる経験を私は持っている」と語った。

 指揮官としてみれば、W杯予選まであまり時間がない中で、劇的なメンタル改善を施すことで日本代表を立ち直らせたいという考え。今月下旬から始まる代表合宿では、ハリルホジッチ監督によるカウンセリングタイムが設けられるかもしれない。

(取材・文 矢内由美子)