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スタジオジブリのアニメーション映画『思い出のマーニー』のBlu-ray&DVD発売記念イベントが12日、都内で行われ、米林宏昌監督とCMに出演したフィギュアスケート選手の高橋大輔が出席した。

イギリスの作家ジョーン・G・ロビンソンによる同名の児童文学を原作とした本作は、ぜんそくの療養のため海辺の村に訪れた主人公・杏奈が、金髪の少女・マーニーとの出会いを通じて、不思議な出来事に次々と遭遇する物語が描かれている。3月13日よりオンエアがスタートしたCMでは、高橋が映画の主題歌「Fine On The Outside」に合わせてスケートリンクで演技し、「変わろうと願う人だけが変わろことができる」というコンセプトのもと、オリジナル振付を披露している。CMの上映後には、米林監督と高橋によるトークショーが行われた。

高橋は『思い出のマーニー』について「そっと寄り添ってくれるような作品。僕は根がネガティブな方で、小さい頃は団体生活がすごく苦手でした。学校に行くのもすごく辛くて、気持ち的に弱い子だった」と前置きしながら「自信を持てるようになったのはスケートがあったからで、スケートと人が支えてくれた。杏奈の『人間には、内の人間と外の人間がいる』という台詞には共感が持てました」と自身の幼少期と杏奈を照らし合わせながら、感慨深げに語っていた。

米林監督は「最初は、こんなに暗い子を主人公にして大丈夫なのだろうかと思いましたが、世の中にもそういう子はいると思い、勇気を与えたいと思って作りました」と想いを吐露。また、苦労して描いた水の動きを宮粼駿監督が褒めていたことを人づてに聞き、喜びをあらわにしていた。そして「この作品は物語が難しいので、繰り返し見ていただくことで、物語の中に潜む伏線や繋がりに気づいていただけるんじゃないかと思います」とパッケージならではの鑑賞方法を紹介した。

本作の宣伝の柱となった「変わろうとした人だけが変われると僕は思っているんです」というコピーは、米林監督のインタビュー発言から生まれた言葉。米林監督は「杏奈はマーニーがいたから変われたのは事実ですが、それは杏奈が変わりたいと思っていたからです。人は受け身では変わることができない。僕もそういったスタンスで作りたいと思っていたので、この言葉が生まれたのだと思います」と述懐した。

そうした米林監督の想いを氷上で表現するべく臨んだ高橋は「(リンク内の)プロジェクターで投影された映像に収まるように滑るため、距離感を掴むのに苦労しました」と普段とは異なる演技の苦労を語りながらも「曲は入りやすかったので、滑っている最中はすごく楽しかった。自分で言うのは恥ずかしいんですが、リンク上が寒く、自分の吐く白い息が演出のように見えました」と出来栄えにも納得。また、振付については「今回は、小さいリンク用に振付しましたが、いつかは大きいリンクで踊るようアレンジしたいと思います」と意欲を見せていた。

今後についての話が及んだところで、米林監督から「実は昨年末で会社を辞めていて、もうジブリの人間ではありません」という爆弾発言が飛び出し、ざわつく報道陣を前に「今は西村プロデューサーとどうしようかと話をしています。また作品を作っていきたいという気持ちあります」と言及。高橋もあまりの衝撃に呆然とした様子だったが「素敵な作品がまた作られることを楽しみにしています」と想いを伝え、米林監督は「まだ何とも言えませんが」と前置きをした上で「『思い出のマーニー』とは正反対の快活に動くファンタジー作品をやってみたい」と今後の展望を明かしていた。

最後に米林監督は「僕が言うのもおこがましいですが、『思い出のマーニー』は共感できる人、そうではない人、いろいろな気持ちを持った人たちが受け入れることができる作品です。一息ついた時に見てもらえたら楽しめるのではないかと思います」と本作に込めた想いを改めて伝える。そして高橋は「杏奈は、最初自分が嫌いと言っていますが、そんな女の子が周囲や自然の力を借りて変わっていく物語。それは、小さいけれど杏奈にとっては大きな一歩なんです。一歩を踏み出す後押しになれたらうれしいです」と本作をアピールしていた。

『思い出のマーニー』Blu-ray&DVDは、3月18日に発売予定。

(トランジスタ)