3月11日に行われたテストマッチで、U−22日本代表がU−22ミャンマー代表を9対0と粉砕した。

 勝利の立役者を探すのであれば、ともに4ゴールをマークした鈴木武蔵と中島翔哉になるだろう。ただ、欧州組の久保裕也と南野拓実の合流を待つ攻撃陣は、様々な組み合わせが想定される。ポジティブな意味で流動的だ。
 
 対照的なのは守備陣である。GK櫛引政敏、右SB松原健、右CB岩波拓也、左SB植田直通に加え、ダブルボランチの遠藤航と大島遼太は、ほぼ決まりと見ていい。システムを4−3−3とする場合は、遠藤がアンカーで大島がインサイドハーフの一角をしめるはずだ。

 例外は左サイドバックだ。

 昨年12月14日のタイ戦では、亀川諒史が先発した。4日後のバングラデシュ戦では、山中亮輔がスタメンに名を連ねた。

 今年2月14日のシンガポール戦では、再び亀川が先発した。この試合には山中が招集されていなかったが、亀山は「ACLの関係だけで呼ばれていないんじゃないですか」と冷静な口調で話した。山中が所属する柏レイソルは、2月17日にACLのプレーオフを控えていたのだった。

 だからといって、亀川が定位置奪取に控え目なわけではない。
「ライバルがいるなかでも、メンバーに入るだけでは自分は満足していない。試合に出てナンボだと思っていますし、出るための準備をしっかりしていますし、出たときは100パーセントの力を出さないといけない、と思っています」

 山中が再び招集された今回のミャンマー戦で、手倉森誠監督は背番号6をスタメンに指名した。山中である。

「アシストやゴールという結果が欲しかった」と山中は振り返る。湘南ベルマーレからアビスパ福岡へ期限付き移籍した亀川は、8日に行われたJ2リーグの開幕戦に出場している。一方の山中は、途中出場に止まっていた。追加招集された安在和樹も、所属する東京ヴェルディで左サイドバックとして開幕戦のピッチに立っている。手倉森監督のもとでは実績で先行する山中も、安閑としてはいられない。

 それだけに、前半だけの出場で2アシストを記録したパフォーマンスには、「結果を残せて良かった」と安堵した。21分、右CKのキッカーを務めて岩波のゴールを導く。25分には左サイドからのクロスが、鈴木のヘディングシュートにつながった。

 後半から投入された亀川も、積極性を発揮した。左サイドから果敢に攻め上がり、際どいクロスを供給している。

 3月27日に開幕するリオ五輪アジア1次予選は、中1日で3試合を消化する。クアラルンプールの蒸し暑さとも、向き合わなければならない。チームのクオリティを落とさないために、手倉森監督は選手を使い分けていくことも視野に入れている。

 だとすれば、彼らの併用も考えられる。
 左サイドのスペシャリストである山中に対して、亀川はポリバレントなタレントだ。最終ラインの左右両サイドでプレーでき、中盤にも適応する。

 背番号15を着けた亀川は言う。
「複数のポジションでプレーできるのは、プロになってから自分の良さのひとつとしてやってきたところ。どこで使われても自信を持ってやれている部分はあります」

 1次予選で対戦するマカオ、ベトナム、マレーシアは、日本にとって格下の相手だ。攻撃陣の爆発で圧倒すべき3試合だが、楽観はできない。

 亀川が続ける。
「自分たちが押し込んでいても、なかなか点が取れずに相手のセットプレーや自分たちのミスから1点決められて、そこから流れが変わるという試合はJリーグを観ていてもあります。失点をしなければ最低でも負けることはないので、ゼロで抑えていかなきゃいけないと思います」

 セットプレーのキッカーも務める山中か、激しい上下動を保証する亀川か。ふたつの異なる個性を、指揮官はどのように使いこなしていくのか。1次予選の隠れたポイントである。