春眠、暁を覚えず。というが、残業続きで睡眠時間の確保すら難しい年度末に言われても「どこの話?」と聞き返したくなる。

 先月、睡眠と健康に関する提言を行っている米国立睡眠財団(NSF)から、新生児〜高齢者の各年齢層別、推奨睡眠時間が報告された。

 それによると、生後3カ月までの新生児は14〜15時間、生後4〜11カ月は12〜15時間等々、赤ちゃん時代は「寝る子は育つ」を地でいく睡眠が必要。ゲームで遊ぶ時間をめぐって、親と一悶着を起こす6〜13歳は9〜11時間。夜の塾通いや深夜のインターネット、LINEで睡眠不足になりやすい14〜17歳は8〜10時間は確保したい。

 そして、米国では立派な成人と見なされる18〜64歳は7〜9時間(!)も必要だという。65歳以上の高齢者になると7〜8時間でよいらしいが。

 一方、ちょうど1年前に発表された厚生労働省の「健康づくりのための睡眠指針 2014」を見ると米国の推奨時間より短め。

 10代前半は8時間以上、25歳で約7時間、45歳で約6.5時間、65歳で約6時間と現実的な数字が並んでいる。見方を変えれば、最低限の睡眠時間ともいえるだろう。事実、勤労世代で睡眠時間が6時間を下回ると、日中の眠気が増し、ヒューマンエラーの頻度が上昇することが知られている。日本のお父さんたちは、もっと眠ったほうがよいのかもしれない。

 忙しくて心身の緊張が解けず、寝付きが悪い人は、寝る前の1時間は何もせず、40℃くらいのお湯にゆっくり漬かるといい。リラックスと同時に、手足の末梢血管が一時的に拡張して放熱を促し、ヒートアップしている身体の深部を冷やして眠りへ誘ってくれる。

 さて、日本型労働裁量制が解禁されそうな昨今、深夜残業を禁じ「朝型勤務」を推奨する企業がジワジワ増えている。日本のサラリーマンの平均の片道通勤時間、約40分から逆算すると、6.5時間の睡眠を確保しつつ朝7時に会社に着くには、夜11時までにベッドへ入りたい。なので、9時頃には家路につきましょう。

(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)