U−22日本代表に見えた進歩…反省点を修正、大勝劇にも価値あり

写真拡大

 点ではなく線でとらえるべきである。3月11日に行われたU−22日本代表のテストマッチだ。U−22ミャンマー代表との力関係を考えれば、勝利はもちろん大量得点も予想された一戦である。9−0の爆勝も驚きではない。

 チーム結成から1年という「線」で、ミャンマー戦をとらえる。勝って当然と見なされていた一戦も、価値あるものとして浮かび上がってくる。

 敵地でU−23シンガポール代表と対戦した2月のテストマッチも、8−1の大勝だった。シーズン開幕前でゲームから遠ざかっており、不慣れな人工芝のピッチで戦ったなかでの勝利にも、とりわけディフェンス陣は悔しさを募らせた。後半の失点は不要なものだったからだ。

 失点のきっかけは自陣左サイドでのFKだった。2対1の局面を作りながら、不要なファウルでFKを与えてしまったのだ。試合後の遠藤航(湘南ベルマーレ)は、「細かいところのミスが最後で失点につながる」と注意を促した。

 ミャンマー戦は違った。自陣での不用意な反則はなかった。対戦相手との力の差があったものの、シンガポール戦が教訓となっていたのである。

 評価したいのは先制点だ。相手GKのキャッチミスが鈴木武蔵(アルビレックス新潟)の得点につながったが、注目すべきはゴールへのプロセスだろう。敵陣左サイドで失ったボールを中島翔哉(FC東京)が奪い返している。そこから原川力(京都サンガF.C.)がシュートを放ち、鈴木の得点が生まれた。「攻」から「守」への切り替えを、意識づけしてきた成果の表れだった。

 シンガポール戦ではひとつもなかったリスタートからも得点をあげた。21分の3点目だ。山中亮輔(柏レイソル)の右CKをCBの岩波拓也(ヴィッセル神戸)がヘディングで突き刺した。

 これもまた、シンガポール戦を反省材料としたものである。8−1で勝利したアウェーでの試合後、遠藤は「僕自身もCKからひとつチャンスがあった。そこで取りきれなかったのは、みんなが課題として受け止めていると思います」と話していたのだ。CKは前日練習で簡単にパターンを確認しただけだったが、今回は得点へ結びつけることができた。

 手倉森誠監督によれば、「1次予選を戦うマレーシアに入ってから、セットプレーは入念に練習していく」という。中1日のスケジュールだけでなく、暑さとも向き合う1次予選ではリスタートが重みを持つ。その意味でも、岩波のゴールはプラス材料のひとつにあげられるはずだ。

 課題をあげるとすれば、ボールの失い方だろうか。

 前半37分のシーンである。右サイドバックの松原健(新潟)が右CBの岩波へスローインし、岩波は左CBの植田直通(鹿島アントラーズ)へつなぐ。植田は左斜め前の遠藤へつなごうとしたが、前線からチェイスしてきた相手FWに引っ掛けられ、自陣左サイドでボールを失ってしまった。

 試合後の植田は「自分のミスが多かった。相手のレベルが高ければやられる」と警戒心を強めたが、気になったのはこれだけではない。34分には右サイドでボールを失い、そのままの流れでミャンマーにCKを与えた。高さでは優位に立ちながら、CKの対応にもバタついた。互角の攻防を繰り広げているゲームであれば、試合の流れを譲りかねない。

 手倉森監督はフル代表へつながる強化を意識しており、選手たちからもフル代表入りの意欲が聞こえてくる。だとすれば、目の前の一戦からワンプレーにこだわっていかなければならない。リオ五輪後の代表入りを目ざすのではなく、今からフル代表へ絡んでいくとの意識が、1次予選突破にもつながっていくはずだ。

文=戸塚啓